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(更新日 2010年10月4日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
21 September 2010 Volume 153 Issue 6
(監修:植田秀樹,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
性別に基づいたDarunavir-Ritonavir治療のアウトカム:単一集団での試験
Sex-Based Outcomes of Darunavir-Ritonavir Therapy: A Single-Group Trial
Judith Currier, Dawn Averitt Bridge, Debbie Hagins, Carmen D. Zorrilla, Judith Feinberg, Robert Ryan, Ron Falcon, Alan Tennenberg, Joseph Mrus, Kathleen Squires, and on behalf of the GRACE (Gender, Race, And Clinical Experience) Study Group
HIV-1感染症の女性は,HIV治療にたいする抗ウイルス薬の臨床試験で過小評価されている.Darunavir-ritonavirの本研究では,治療経験したHIV陽性の女性が,性別によって分析ができるようにするために充分な割合で取り込まれていた.著者らによると48週の治療の後,どちらかの治療有効性や臨床的に関連した有害事象の発生という点で女性と男性の間に統計学的に有意な差異はなかった.しかしながら,女性は,ウイルス学的失敗以外のさまざまな理由のために試験への参加がより継続できなくなる傾向があった.
(翻訳:鈴木克典)
パリフェルミン単回投与は複数回の癌化学療法中の重症口内炎を予防する:無作為化試験
Single-Dose Palifermin Prevents Severe Oral Mucositis During Multicycle Chemotherapy in Patients With Cancer: A Randomized Trial
Saroj Vadhan-Raj, Jonathan Trent, Shreyaskumar Patel, Xiao Zhou, Marcella M. Johnson, Dejka Araujo, Joseph A. Ludwig, Shana O'Roark, Ann M. Gillenwater, Carlos Bueso-Ramos, Adel K. El-Naggar, and Robert S. Benjamin
口内炎は化学療法の投与量や期間を制限することのある重篤な合併症である.この小規模な,無作為化プラセボ比較試験によりケラチノサイト増殖因子であるパリフェルミンが,肉腫に対するドキソルビシンを含む化学療法中の口内炎の頻度と重症度をプラセボ群と比較し減少させた.有害事象は軽度であった.より大規模で,多様な患者群で確かめられれば,パリフェルミンによって口内炎を和らげることにより一部の患者では複数回の化学療法が完遂できるようになるかもしれない.
(翻訳:沖 将行)
メディケア集団における大腸直腸癌スクリーニングのための便DNAテスト:費用対効果解析
Stool DNA Testing to Screen for Colorectal Cancer in the Medicare Population: A Cost-Effectiveness Analysis
Iris Lansdorp-Vogelaar, Karen M. Kuntz, Amy B. Knudsen, Janneke A. Wilschut, Ann G. Zauber, and Marjolein van Ballegooijen
便DNAテストは,他の大腸直腸癌スクリーニングテストより正確さに欠け,より高額である.にもかかわらず,メディケア・メディケイドサービスセンターは,メディケア入会者における大腸直腸癌スクリーニングに対して費用を補償するかどうか検討している.この費用対効果解析は,癌進展に対する従来のアデノーマ-カルチノーマシークエンスを仮定した場合,便DNAテストの費用対効果をもつ条件を明らかにした.便DNAテストは,もし費用が1テストあたり約350ドルから約50ドルへ減額されるならば,費用対効果のある代替方法になりうる.また,便DNAテストは,違った方法である大腸内視鏡を使ったスクリーニングを施行したがらない集団の多くの人々によって使用されうる.
(翻訳:井田弘明)
プロトンポンプ阻害薬は,クロピドグレル使用と無関係に心血管リスクに関連している:全国的コホート研究.
Risk Independent of Clopidogrel Use: A Nationwide Cohort Study
Mette Charlot, Ole Ahlehoff, Mette Lykke Norgaard, Casper H. Jørgensen, Rikke Sørensen, Steen Z. Abildstrøm, Peter Riis Hansen, Jan Kyst Madsen, Lars Køber, Christian Torp-Pedersen, and Gunnar Gislason
デンマークの全病院から得た行政上のデータに基づいて,この観察研究は初回の心筋梗塞で入院した患者の大規模な非選択的コホートにおいて,プロトンポンプ阻害薬(PPI)の単独使用と比較して,PPIとクロピドグレルの併用に関連した有害な心血管アウトカムのリスクを調査した.クロドピグレルとPPIの投与を受けた患者は,PPI単独投与のそれと比べて,心血管死や心筋梗塞・脳血管障害による再入院のリスクは同等であったことを研究者らは見出した.
(翻訳:村上 純)
医学と臨床(Academia and Clinic)
臨床研究:実体からまやかしを見分ける
Clinical Trials: Discerning Hype From Substance
Thomas R. Fleming
臨床研究の結果を“都合のいいように”報告したり解釈することは医療ケアの研究全般に広まっている.私たちはこのバイアスを認識し,それに効果的に取り組むアプローチを実行するべきだ.今回のディスカッションで以下のことを注目してもらいたい,すなわちP値を判断するときの検体採取の背景を理解することの重要性,“変量の多い”バイアスの影響,検証的試験の重要性,そして利点を確実にするための目的到達への心理的影響などである.
(翻訳:山本 卓)

レビュー(Review)
動脈硬化性不安定化プラーク:文献的考察
The Vulnerable Atherosclerotic Plaque: Scope of the Literature
Alawi A. Alsheikh-Ali, Georgios D. Kitsios, Ethan M. Balk, Joseph Lau, and Stanley Ip
不安定プラークは医療診断名として確立されたものではなく,今もなお変化を続けている概念である.この報告では不安定化プラークという概念に関する最近のエビデンスをよりよく理解するために,近年の定義と考え方,自然経過に関する最近の見解,診断,治療方法と課題および将来の研究の方向性についてのエビデンスの概要を述べている.
(翻訳:江波戸美緒)
展望(Perspectives)
ハイチでの囚人への健康管理
Health Care for Prisoners in Haiti
John P. May, Patrice Joseph, Jean William Pape, and Ingrid A. Binswanger
刑務所の環境で不相応な健康管理上のニーズを満足することは,特にハイチのような資源の乏しい国においては困難なことだ.2010年1月の地震の前には,地域や国際機構はハイチ政府と協力して囚人の健康上のニーズの提供を進めていたが,地震によって中断された.この記事は健康管理上のニーズと地震前にハイチの刑務所で行われた改善そして復興の努力での挑戦について論じている.
(翻訳:吉澤弘久)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
精巣癌のスクリーニング:U.S. Preventive Services Task Forceのエビデンスレビュー
Screening for Testicular Cancer: An Evidence Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Kenneth Lin and Ruta Sharangpani
このレビューでは,U.S. Preventive Services Task Force(USPSTF;訳注:米国予防医療サービス専門作業部会)による精巣癌のスクリーニングについて,2004年の勧告以降の新しいエビデンスを,勧告の更新のために検索した.レビュアーは,精巣癌の症状がない男性のスクリーニングによる利点と有害事象の検索を,2001年の1月1日から2009年の11月11日までの文献について行ったが,2004年のUSPSTF勧告以降の研究で,新たに適切で質の高いものはなかった.
(翻訳:川上寿一)
論評(Editorials)
癌患者の支持療法:ケーキにのせる単なる甘い飾り付けではない.
Supportive Treatments for Oncology Patients: Not Just Icing on the Cake
John F. Deeken and Louis M. Weiner
本号において,Vadhan-Rajとその同僚らは強力な癌化学療法を受けた患者の口腔粘膜炎に対するパリフェルミンの効果を示している.肉腫に対してドキソルビシン中心の化学療法を受けた患者ではパリフェルミンによりグレード2-4の口腔粘膜炎の重症度と期間を有意に改善した.本論評ではこれらの知見の重要性について論じる.
(翻訳:山内高弘)


相反するエビデンス:臨床医のとるべき道は?
Conflicting Evidence: What's a Clinician to Do?
Joao Paulo de Aquino Lima and James M. Brophy
本号において,Charlotとその同僚らは心筋梗塞を発症した患者において,心血管死亡,心筋梗塞,または脳卒中とPPI(プロトンポンプ阻害薬)とクロピドグレル併用の間には特別な相互作用のエビデンスは何もないことを報告している.かれらによると,PPIはクロピドグレルの使用とは独立して心血管系の予後不良のリスクの増大に関連する.いくつかの他の研究はこの問題について公表され,そして―相反する結果であるにもかかわらず―規制団体は臨床的に重要な薬物相互作用について警告する布告を発行してきた.論評ではいかに臨床医がこの相反するエビデンスの結果を翻訳すべきかについて論じている.
(翻訳:山内高弘)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
パリフェルミンは化学療法中の重篤な粘膜炎を予防できる
Palifermin Can Prevent Severe Oral Mucositis During Chemotherapy
(翻訳:千葉 大)
ACP Journal Club
メタ解析:アルテプラーゼは脳梗塞発症4.5時間以内に投与すれば機能予後を改善する.
Meta-analysis: Alteplase improves functional outcomes when given within 4.5 hours of stroke onset
単回の,年1回の,高用量経口ビタミンDは高齢女性において転倒と骨折を増加させる.
A single, annual, high dose of oral vitamin D increased falls and fractures in older women
レビュー:スタチン系薬剤は心血管系疾患の既往がない患者において死亡率を減少させない.
Review: Statins do not reduce mortality in patients with no history of cardiovascular disease
レビュー:β刺激薬は喘息の患者において喘息に関連する気管内挿管や死亡を増加させる.
Review: β-agonists increase asthma-related intubations and deaths in patients with asthma
レビュー:妊娠糖尿病の治療は肩甲難産のリスクを減少させる.
Review: Treatment for gestational diabetes reduces risk for shoulder dystocia
レビュー:プロバイオティクスは過敏性腸症候群の成人における症状を改善する.
Review: Probiotics improve symptoms in adults with the irritable bowel syndrome
レビュー:直接トロンビン阻害薬は人工股関節置換術または人工膝関節置換術後の深部静脈血栓症の予防に対して低分子量ヘパリンやビタミンK拮抗薬と同等である.
Review: Direct thrombin inhibitors are similar to LMWH and vitamin K antagonists for preventing VTE after hip or knee replacement
レビュー:標的薬治療は関節リウマチにおいてルーチンのケアより臨床アウトカムを改善する.
Review: Target-oriented drug treatment improves clinical outcomes more than routine care in rheumatoid arthritis
レビュー:腹腔鏡下噴門形成術は逆流性食道炎におけるクオリティ・オブ・ライフのいくつかの評価項目で内科的治療よりも優れている.
Review: Laparoscopic fundoplication is better than medical management for some quality-of-life measures in GERD
レビュー:内視鏡治療後の高用量と非高用量のプロトンポンプ阻害薬は出血性消化性潰瘍の発症に差がない.
Review: High-dose and non-high-dose proton pump inhibitors after endoscopic treatment do not differ for bleeding peptic ulcers
非糖尿病患者においてビタミンEは非アルコール性脂肪肝を改善したが,ピオグリタゾンは改善しなかった.
Vitamin E, but not pioglitazone, improved nonalcoholic steatohepatitis in nondiabetic patients
ワーファリンとコトリマゾールまたはシプロフロキサシンの併用は上部消化管出血による入院のリスクを増加させた.
Concomitant use of warfarin and cotrimoxazole or ciprofloxacin increased risk for admission for upper GI hemorrhage
用語集
Glossary
(翻訳:吉井康裕)

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