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(更新日 2010年11月1日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
19 October 2010 Volume 153 Issue 8
(監修:塩田哲也,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Original Research)
Prestige号重油流出の除去作業2年後における漁師らの健康変化
Health Changes in Fishermen 2 Years After Clean-up of the Prestige Oil Spill
Gema Rodríguez-Trigo, Jan-Paul Zock, Francisco Pozo-Rodríguez, Federico P. Gómez, Gemma Monyarch, Laura Bouso, M. Dolors Coll, Héctor Verea, Josep M. Antó, Carme Fuster, Joan Albert Barberà, and for the SEPAR (Sociedad Española de Neumología y Cirugía Torácica)-Prestige Study Group
重油流出は環境に影響を及ぼす災害であるが,ヒトの健康に及ぼす影響については不明である.この研究では2002年にスペイン北西海岸に生じた重油流出の除去作業に参加した501人の漁師を追跡した.作業に参加した漁師は,除去作業に参加しなかった117人の地元の漁師に比較し,呼吸器症状を有する確率が高く,呼気濃縮液中の気道傷害を示唆するマーカーが高値であり,リンパ球中の染色体変化がより多くみられた.重油除去作業への参加は健康に悪影響を及ぼしたが,長期的な臨床的意義については不明である.
(翻訳:浦野哲哉)
侵襲的歯科治療と血管イベントのリスク:自己対照ケースシリーズ
Invasive Dental Treatment and Risk for Vascular Events: A Self-Controlled Case Series
Caroline Minassian, Francesco D'Aiuto, Aroon D. Hingorani, and Liam Smeeth
歯周病のような慢性炎症状態は,心血管疾患の発生に強く関わっているということが益々考えられるようになっている.大規模な管理データベースを用いることで,研究者らは侵襲的歯科治療を受けた成人において,治療後4週間以内ではそれ以外の期間に比較し,心筋梗塞や脳卒中のリスクを増加させることを見出した.この一過性のリスクの増加が急性の歯性炎症,周術期における抗血小板薬の変更,生理的ストレス,あるいは他の機序によるものか否かを明らかにするために更なる研究が必要である.
(翻訳:笠巻祐二)
糖尿病管理―患者間相互支援か,看護ケアか:無作為化試験
Diabetes Control With Reciprocal Peer Support Versus Nurse Care Management: A Randomized Trial
Michele Heisler, Sandeep Vijan, Fatima Makki, and John D. Piette
この無作為化試験では,通常管理と,ペアにした糖尿病患者を毎週連絡させ合って同様の自己管理を目指す患者間相互支援プログラムを比較した.患者間相互支援プログラムの患者はHbA1cが大きく改善し,インスリン療法がより導入されやすく,通常の管理を受けた患者よりも,好ましい結果がいくつか得られた.患者間相互支援プログラムは糖尿病ケアマネージメントの方法として有望である.
(翻訳:勝田秀紀)
南アフリカ共和国の医療従事者では,多剤耐性・広範囲薬剤耐性結核による入院の頻度が高い
High Incidence of Hospital Admissions With Multidrug-Resistant and Extensively Drug-Resistant Tuberculosis Among South African Health Care Workers
Max R. O'Donnell, Julie Jarand, Marian Loveday, Nesri Padayatchi, Jennifer Zelnick, Lise Werner, Kasavan Naidoo, Iqbal Master, Garth Osburn, Charlotte Kvasnovsky, Karen Shean, Madhukar Pai, Martie Van der Walt, Charles R. Horsburgh, and Keertan Dheda
南アフリカ共和国(南ア)において多剤耐性結核(MDR-TB)と広範囲薬剤耐性結核(XDR-TB)の頻度は高いが,医療従事者でのこれらの疾患のリスクは定量されてこなかった.今回の後ろ向き研究は,すべての治療が単一の関連病院で行われた南アのある州における多剤耐性結核と広範囲薬剤耐性結核の治療開始のための入院率を評価した.医療従事者は非医療従事者と比べて,多剤耐性結核,広範囲薬剤耐性結核治療のための入院率がそれぞれ5,6倍以上であった.これらの観察は医療従事者を対象とする結核制御プログラムの必要性を提案する.
(翻訳:こう康博)
レビュー(Reviews)
患者レベルのメタ解析:原因不明の静脈性血栓塞栓症の再発リスク評価のためのDダイマー測定において,測定時期・閾値・患者年齢が与える影響
Patient-Level Meta-analysis: Effect of Measurement Timing, Threshold, and Patient Age on Ability of D-Dimer Testing to Assess Recurrence Risk After Unprovoked Venous Thromboembolism
James Douketis, Alberto Tosetto, Maura Marcucci, Trevor Baglin, Mary Cushman, Sabine Eichinger, Gualtiero Palareti, Daniela Poli, R. Campbell Tait, and Alfonso Iorio
ガイドラインでは,原因不明の静脈性血栓塞栓症(VTE)に対し,最低3か月,また患者によっては無期限の抗凝固療法を推奨している.しかし,長期の抗凝固療法を安全に回避できそうな,再発リスクが低い患者を区別する最善のDダイマー測定法はわかっていない.これは,初回かつ原因不明のVTEを発症し,抗凝固療法を受けた後に,Dダイマーを測定し,再発に至るまで追跡調査をした1,818名の患者を含む7試験の患者レベルのメタ解析である.研究者らは,抗凝固療法中止後のDダイマー陽性とVTE再発が関係すること,そして測定の時期・患者年齢・Dダイマーのカットポイントが,その相関に影響を与えないことを確認した.
(翻訳:櫻井政寿)
研究と報告の方法(Research and Reporting Methods)
プラセボの中身は?:誰も知らない無作為化比較試験の解析
What's in Placebos: Who Knows? Analysis of Randomized, Controlled Trials
Beatrice A. Golomb, Laura C. Erickson, Sabrina Koperski, Deanna Sack, Murray Enkin, and Jeremy Howick
この研究では4つのジャーナル(New England Journal of Medicine, JAMA, The Lancet, Annals of Internal Medicine)に発表された無作為化プラセボ比較試験の報告において,どのくらいの頻度でプラセボの成分が明示されているか調べた.発表されたほとんどの報告にはプラセボの成分に関する記載は無かった.プラセボの成分についての記載は,経口薬の研究では注射やそれ以外による治療の場合よりさらに少なかった.
(翻訳:川田秀一)
医学と公衆衛生の話題(Medicine and Public Issues)
Affordable Care Actと臨床医学の未来:チャンスと挑戦
The Affordable Care Act and the Future of Clinical Medicine: The Opportunities and Challenges
Robert Kocher, Ezekiel J. Emanuel, and Nancy-Ann M. DeParl
Affordable Care Actと臨床医学の未来:チャンスと挑戦 この解説には,Affordable Care Act(訳註:医療保険改革法)によって診療にもたらされそうなチャンスと挑戦に関するもので,現在あるいは過去において政府当局の医療制度改革に関連した個々の見解が示されている.
(翻訳:川田秀一)
論評(Editorials)
重油流出が健康に及ぼす影響の研究への教訓
Lessons for Study of the Health Effects of Oil Spills
David A. Savitz and Lawrence S. Engel
この号では,Rodríguez-Trigoと同僚らの,2002年のスペイン沖重油流出の除去作業に加わった漁師たちの健康に関する研究が,2010年のDeepwater Horizonでの流出において暴露された5万人の労働者などや,今後の事故での健康に及ぼす影響の研究を促進する方法を考慮する機会を与えてくれる.この論評では,労働者からのデータ収集をすぐに行うこと,詳細な暴露の評価を行うこと,幅広い健康問題を調べること,および迅速な公衆衛生学的介入を導入するための研究を計画することを推奨し,政治的環境の中で問題を認識し作業をしていく必要性を強調する.
(翻訳:林 正樹)


侵襲的歯科治療と血管イベントのリスク:この難題を解決できたのか?
Invasive Dental Treatment and Risk for Vascular Events: Have We Bitten Off More Than We Can Chew?
Howard Weitz and Geno Merli
この号では,Minassianと同僚らは,侵襲的歯科治療と血管イベントとの関連性について報告している.本論評は周術期のリスクに関する我々の理解の進歩について詳説し,侵襲的な歯科処置後の血管リスクの一過性上昇を説明しうる機序を解明する研究の限界について触れている.この研究は,心血管系疾患予防のための抗血小板薬内服中の患者における歯科処置の際に,これらの投薬を可能な限り継続することを思い出させてくれる重要性なものである.
(翻訳:市堰 肇)


慢性疾患管理における同僚患者の役割
The Role of Peer Patients in Chronic Disease Management
Amelie G. Ramirez and Barbara J. Turner
この号では,Heislerと同僚らの無作為試験は,患者間支援プログラムが糖尿病の転帰を改善しうるエビデンスを示している.この論評では,患者間相互支援や,一般人が他の患者の疾患治療を援助することを奨励する治療介入に有望性を認めている.論説委員は,そのようなプログラムにかかる診療報酬,トレーニングの標準化,そして長期アウトカムが未回答問題であると指摘している.
(翻訳:西 愼一)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
重油流出の除去作業を補助して2年後の漁師たちの健康への影響
Health Effects in Fishermen 2 Years After Assisting With Oil Spill Clean-up
(翻訳:林 正樹)
侵襲的歯科治療と心血管系疾患発症のリスク
Invasive Dental Treatment and Risk for Vascular Events
(翻訳:市堰 肇)
糖尿病患者はお互いに助け合い,よくなることができるのか?
Can Patients With Diabetes Help Each Other Get Better?
(翻訳:西 愼一)
南アフリカ共和国の医療従事者における,多剤耐性および広範囲薬剤耐性結核による入院率
Incidence of Hospital Admissions With Multidrug-Resistant and Extensively Drug-Resistant Tuberculosis Among South African Health Care Workers
(翻訳:山前正臣)
ACP Journal Club
高血圧患者において糖尿病の有無にかかわらず,ベナゼプリルとアムロジピンの併用は,ベナゼプリルとヒドロクロロチアジドの併用よりも心血管イベントを減少させた.
Benazepril plus amlodipine reduced CV events more than benazepril plus hydrochlorothiazide in hypertension with or without diabetes
1型糖尿病において,過去のインスリン強化療法は末梢神経障害の長期リスクを減少させた.
Prior intensive insulin treatment reduced long-term risk for peripheral neuropathy in type 1 diabetes
単回の軟性S字結腸鏡検査でのスクリーニングは,大腸癌による罹患率と死亡率を減少させた.
Once-only flexible sigmoidoscopy screening reduced colorectal cancer incidence and mortality
免疫化学的便検査による大腸癌スクリーニングは,グアヤック法の便潜血試験(FOBT)でのスクリーニングより高いアドヒアランスを示した.
Colorectal cancer screening with fecal immunochemical testing had higher adherence than screening with guaiac-based FOBT
早期の経頸静脈的肝内門脈大循環シャント術は,肝硬変と食道静脈瘤出血を有する患者のアウトカムを改善させた.
Early use of transjugular intrahepatic portosystemic shunts improved outcomes in patients with cirrhosis and variceal bleeding
アスピリン単独あるいはナドロパリンとの併用療法は,原因不明の習慣流産をきたす女性の生児出生率を増加させなかった.
Aspirin alone or combined with nadroparin did not increase live birth rates in women with unexplained recurrent miscarriage
レビュー:成人における緊張性頭痛に対する予防薬の効果についてのエビデンスは限られる.
Review: Evidence for the effectiveness of prophylactic drugs for tension-type headache in adults is limited
CT冠血管造影は,特に中等度リスクを有する患者での冠動脈疾患の診断においてストレステストより正確であった.
CT coronary angiography was more accurate than stress testing for diagnosing CAD, especially in patients at intermediate risk
レビュー:振動覚検査とモノフィラメントテストは,糖尿病における大径有髄線維の末梢神経障害を診断するのに最も正確である.
Review: Vibration testing and monofilament testing are most accurate for diagnosing large-fiber peripheral neuropathy in diabetes
単独あるいは複数の対面式視野検査が視野異常スクリーニングとして適切に実施されていなかった.
Individual and combined confrontation visual field tests performed poorly as a screen for visual field abnormalities
無症候C. difficile感染に対するPPIと抗生物質の併用は,再感染のリスク上昇と関連していた.
Concurrent PPIs and antibiotics for incident C. difficile infection were associated with increased risk for recurrent infection
9因子からなるスコアは,アテローム血栓症を有する,あるいはそのリスクが高い外来患者の2年間の出血リスクを予測した.
A 9-factor score predicted 2-year risk for bleeding in outpatients with, or at high risk for, atherothrombosis
用語集
Glossary
(翻訳:渡邊清高)

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