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(更新日 2010年11月15日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
2 November 2010 Volume 153 Issue 9
(監修:板東 浩,総合監修:吉田直之)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Original Research)
脳卒中後の深部静脈血栓症予防に対する弾性ストッキングの効果―大腿までか膝下までか:無作為化試験(The CLOTS研究共同体)
Thigh-Length Versus Below-Knee Stockings for Deep Venous Thrombosis Prophylaxis After Stroke: A Randomized Trial
The CLOTS (Clots in Legs Or sTockings after Stroke) Trial Collaboration
この大規模無作為化試験の目的は大腿部または膝下までの弾性ストッキングのどちらが脳卒中患者の深部静脈血栓症のリスク軽減に有用かを検討することである.急性脳卒中の患者が,入院後7〜10日と15〜20日に超音波検査を受けた.超音波検査上の近位部血栓は,大腿部までのストッキング装着例より膝下までのストッキング装着例でよくみられた.皮膚損傷は2群間で統計学的に有意差は認められなかった.これらのデータから脳卒中後の深部静脈血栓症予防のために弾性ストッキングを使用する場合,膝下までのストッキングより大腿部までのストッキングが推奨される.
(翻訳:新沼廣幸)
死亡前2年間における疼痛の疫学
The Epidemiology of Pain During the Last 2 Years of Life
Alexander K. Smith, Irena Stijacic Cenzer, Sara J. Knight, Kathleen A. Puntillo, Eric Widera, Brie A. Williams, W. John Boscardin, and Kenneth E. Covinsky
死亡前2年間における疼痛の経験について,特定の組織に属さない,国内に在住する通常の成人や代理人が報告した.中等度〜重度の疼痛が現れる頻度は,死亡前4か月の期間に最も高かった.疼痛の頻度は,終末期の疾患カテゴリーで差がほとんどなかったが,関節炎を合併した患者でかなり高かった.疼痛に留意し管理するのは,死に瀕しているすべての重症患者で当然であるが,関節炎を併発している場合は特に重要であると研究者たちは結論づけている.
(翻訳:西岡亮治)
電話による変形性関節症の自己管理:無作為化試験
Telephone-Based Self-management of Osteoarthritis: A Randomized Trial
Kelli D. Allen, Eugene Z. Oddone, Cynthia J. Coffman, Santanu K. Datta, Karen A. Juntilla, Jennifer H. Lindquist, Tessa A. Walker, Morris Weinberger, and Hayden B. Bosworth
変形性関節症患者では,健康的なライフスタイルにより改善が得られるところが大きい.しかし,そのようなライフスタイルに導くことは現実には難しい.この無作為化試験では,股関節と膝関節の変形性関節症患者を,変形性関節症の自己管理を電話でサポートする群(介入群)と通常の健康教育資材を使う群と,通常のケアを行う群(コントロール群)とに割り付けた.12か月後,電話によるプログラムにより,コントロール群に比べ,疼痛については中等度の改善が認められた.しかし,関節機能や医療の利用状況については臨床的有意差が認められなかった.
(翻訳:安藤聡一郎)
骨折リスク報告の前後比較試験と骨粗鬆症の治療介入
A Before-and-After Study of Fracture Risk Reporting and Osteoporosis Treatment Initiation
William D. Leslie, Suzanne Morin, and Lisa M. Lix
2006年より開始している,カナダ,ミニトバ州での骨密度の測定結果に関して,Tスコアだけでなく,骨折絶対リスクの報告がなされた.この前後比較試験において,骨粗鬆症薬の処方が新しい報告システムの導入後に減少していることが判明した.処方の減少は,主に低〜中等度骨折リスクの患者に対してであった.骨折絶対リスクの標準化された報告により,骨折リスクのより低い患者への骨粗鬆症薬処方が適切に減少しているようである.
(翻訳:金原秀雄)
レビュー(Reviews)
ナラティブ・レビュー:悪性黒色腫治療のBRAFを標的とした治療の幕開け
Narrative Review: BRAF Opens the Door for Therapeutic Advances in Melanoma
Keith T. Flaherty
転移性黒色腫は予後の悪い疾患であり,治療の選択は限られている.シグナル伝達物質であるv-rafネズミ肉腫ウィルス発ガン遺伝子産物B1(BRAF)の変異は,転移性黒色腫患者の約半分に検出される.本論文は転移性黒色腫に対する現在選択可能な治療の概要とBRAF阻害による治療法の基本的な病態,BRAF抑制剤の臨床試験で第1相と第2相の結果を解説する.BRAF阻害剤は,少なくとも転移性黒色腫に対する緩和治療として有効と考えられる.
(翻訳:松田正典)
メタ解析:予防的植え込み型除細動器の至適年齢と有効性
Meta-analysis: Age and Effectiveness of Prophylactic Implantable Cardioverter-Defibrillators
Pasquale Santangeli, Luigi Di Biase, Antonio Dello Russo, Michela Casella, Stefano Bartoletti, Pietro Santarelli, Gemma Pelargonio, and Andrea Natale
本研究の目的は,重度左心不全患者の心臓突然死に対する一次予防効果の検討である. 植え込み型除細動器もしくは薬物療法を受けた患者5,783名に対して,総計5個の臨床試験を行い,年齢別に要約した.急性心筋梗塞直後の患者も対象とし,予防的植え込み型除細動器が若年患者の死亡率の減少に関与した2つの臨床試験は最初の段階で除外した.高齢者において,統計学的に有意差はないが,わずかな生存率の改善がみられた.
(翻訳:中村浩士)
研究と報告の方法(Research and Reporting Methods)
積極的なサーベイランスのために科学を前面に:医学的アウトカム観察パートナーシップの根拠と制度設計
Advancing the Science for Active Surveillance: Rationale and Design for the Observational Medical Outcomes Partnership
Paul E. Stang, Patrick B. Ryan, Judith A. Racoosin, J. Marc Overhage, Abraham G. Hartzema, Christian Reich, Emily Welebob, Thomas Scarnecchia, and Janet Woodcock
米国連邦議会はFDA(訳注:米国食品医薬品局)に対して,市場に出回っている薬剤やその他の健康製品の危険性を明らかにするために,ヘルスケアデータ自動利用システムを開発するよう命じた.医学的アウトカム観察パートナーシップは,この負託に対応する官民協同である.本論文ではこうして始まった努力と仕事の管理構造,データ入手法のモデル,方法論検証のアプローチ,そして技術的開発について記載する.
(翻訳:紺谷 真)
考えや意見(Ideas and Opinions)
電子タバコ:急速に拡がるインターネット現象
E-Cigarettes: A Rapidly Growing Internet Phenomenon
Cyrus K. Yamin, Asaf Bitton, and David W. Bates
電子タバコ(e-cigarettes)はニコチンをエアロゾル化してタバコに似た香りを引き起こすが,間接煙と比べて従来知られている毒物の含量が少ないと巷間されている.医師は,電子タバコが普及していること,謳われている効果が疑わしく,安全性に懸念があることを認識し,患者に使用を差し控えさせエビデンスに従った法的規制の方向調査を進めていくように働き掛けていくべきである.
(翻訳:紺谷 真)
論評(Editorials)
脳卒中患者は,静脈血栓塞栓症を防ぐために,弾性ストッキングを着用しなければいけないのか?
Should Patients With Stroke Wear Compression Stockings to Prevent Venous Thromboembolism?
Clive Kearon and Martin O'Donnell
この号で,CLOTS Trial Collaborationが行ったCLOTS Trial 2の結果により明らかになる.3,014人の急性脳卒中患者で,大腿までの長さの弾性ストッキングと膝下の弾性ストッキングとを比較すると,前者で静脈血栓塞栓症の発症が少なかった.この論評は,大腿までの長さのストッキングが無症候性,超音波検査法で発見されうる,もしくは症候性の近位のDVTを全く予防できなかったというCLOTS Trial 1の結果に言及し,そしてCLOTS Trials 1と2の間の相違を解説する.
(翻訳:松田正典)


追跡観察研究は人生の最後におきる痛みがどのようなものかを教えてくれるのか?
What Can Population-Based Studies Tell Us About Pain in the Last Years of Life?
M. C. Reid
この号で,スミスと同僚らは,人生の最後2年間の疼痛を調べるために,健康と退職に関するパネル調査のデータを使用した.この論評では本研究で得られた知見を力説し,先行研究の中で位置づけを明らかにし,臨床的意義について解説する.高齢者の間で痛みの有病率と影響について多くが知られているが,死の間近の疼痛についてほとんど知られてない.
(翻訳:松田正典)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
終末期にはもっと痛みが強くなると報告するのは誰?
Who Reports Having More Pain at the End of Life?
(翻訳:小山雄太)
股や膝の関節炎の患者で,痛みの軽減に役立つ電話について考える
Evaluating Telephone Calls to Help Reduce Pain in Patients With Hip or Knee Arthritis
(翻訳:山内高弘)
骨折リスクに基づく女性の骨粗鬆症の治療
Osteoporosis Treatment Based on a Woman's Probability of Fracture
(翻訳:新谷英滋)
クリニックにて(In the Clinic)
急性膵炎
Acute Pancreatitis
(翻訳:加藤秀章)
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