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原著(Original Research)
脳卒中後の深部静脈血栓症予防に対する弾性ストッキングの効果―大腿までか膝下までか:無作為化試験(The CLOTS研究共同体)
Thigh-Length Versus Below-Knee Stockings for Deep Venous Thrombosis Prophylaxis After Stroke: A Randomized Trial
The CLOTS (Clots in Legs Or sTockings after Stroke) Trial Collaboration*
2 November 2010 | Volume 153 Issue 9 | Pages 553-562
背景: 段階的弾性ストッキングは深部静脈血栓症の予防に広く使用されている.大腿部までのストッキングより膝下までのストッキングがより多く使用されてきた.しかし,膝下までのストッキングが大腿部までのストッキングと同様の効果を示す信頼できるエビデンスはない.

目的: 脳卒中で入院し,自力で動けない患者での近位部深部静脈血栓症の予防に対する,大腿部までのストッキングと膝下までのストッキングの有効性について比較する.

研究デザイン: 配分を隠匿するため中央無作為化(施設差の最小化)による並列群試験.深部静脈血栓症を検索する超音波検査技師は盲検化された.しかし,患者と介護者には情報提示された.(比較研究 登録番号:ISRCTN28163533

セッティング: 9か国112病院.

患者: 2002年1月から2009年5月までに急性脳卒中で入院し,自力で動けない患者3,114例.

介入: 入院期間で1,552例が大腿部までのストッキングを装着し,1,562例が膝下までのストッキングを装着した.

測定: 超音波検査技師がそれぞれの群で,圧迫デュプレックス超音波検査を1,406例(生存患者の96%)で症例登録後7から10日までに施行した.彼らは二度目の超音波検査を大腿部までのストッキング装着患者で643例,膝下までのストッキング装着患者で639例について約25から30日までに施行した.一次アウトカムはどちらかの超音波検査で膝下静脈または大腿静脈に症候性または無症候性血栓症の検出とした.

結果: 全ての解析のため登録患者は各群に維持された.一次アウトカムは大腿部までのストッキング装着患者で98例(6.3%)に,膝下までのストッキング装着患者で138例(8.8%)に生じ(絶対差,2.5%ポイント[95% CI,0.7-4.4%ポイント];p=0.008),31%のオッズ低下(CI,9-47%)であった.両群の75%が30日以上,または退院,死亡または自力で移動可能となるまでストッキングを装着した.皮膚損傷は大腿部までのストッキング装着患者61例(3.9%),膝下までのストッキング装着患者45例(2.9%)で起こった.

研究の限界: 二重盲検は不十分で,2回の超音波検査は全ての患者では行われなかった.この研究は目標達成前に中止された.

結論: 脳卒中患者における近位深部静脈血栓症は,大腿部までのストッキング装着患者より膝下までのストッキング装着患者で多く発症していた.

主たる資金提供源: Medical Research Council of the United Kingdom, Chief Scientist Office of the Scottish Government, and Chest Heart and Stroke Scotland(訳注:英国医学研究審議会,スコットランド政府主任研究事務局,胸部心臓・脳卒中スコットランド)

(翻訳:新沼廣幸)

English Abstract

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