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原著(Original Research)
死亡前2年間における疼痛の疫学
The Epidemiology of Pain During the Last 2 Years of Life
Alexander K. Smith, MD, MS, MPH; Irena Stijacic Cenzer, MA; Sara J. Knight, PhD; Kathleen A. Puntillo, RN, DNSc; Eric Widera, MD; Brie A. Williams, MD; W. John Boscardin, PhD; and Kenneth E. Covinsky, MD, MPH
2 November 2010 | Volume 153 Issue 9 | Pages 563-569
背景: 死の直前数年間における疼痛の疫学については,まだ十分に報告されていない.

目的: 死の直前2年間における疼痛の有病率と相互関係について検討すること.

研究デザイン: 観察研究である.「健康と退職に関する研究」に登録して,その期間内に亡くなった参加者のデータが解析された.死亡日時に最も近い調査インタビューの結果が用いられた.各参加者や代理人が死の直前24か月のうちに1回インタビューを受けており,インタビューの時点と死の間隔を月数で表した数値により1から24の群に分類された.死に至るまでの時間と疼痛の関連についてモデル化され,年齢・性別・人種もしくは民族性・教育レベル・純資産・収入・終末期の疾患カテゴリー・関節炎の有無と代理人の有無により補正された.

セッティング: 「健康と退職に関する研究」−コミュニティに住む老人に関する国内の典型例調査(1994年から2006年まで実施)

参加者: 老年期成人として亡くなった故人

測定: 臨床的に明らかな疼痛−参加者が「よく悩まされた」とレポートに記載した,少なくとも中等度以上の疼痛.

結果: サンプルは4703例の故人であった.参加者の平均年齢は75.7±10.8(SD)歳で,内訳は83.1%が白人で,10.7%が黒人,4.7%がヒスパニックであり,52.3%が男性であった.死の直前24か月における疼痛の補正済み有病率は26%(95%Cl,23%〜30%)であった.有病率は死の4か月前まではあまり変化せずフラットを維持し(28%〔Cl,25%〜32%〕),その後増加して,死の直前1か月では46%(Cl,38〜55%)に達した.死の直前1か月での疼痛の有病率は,関節炎のある患者では60%で,関節炎のない患者では26%であり(p<0.001),終末期の疾患カテゴリーによる違いはなかった(癌45%,心疾患48%,過失50%,突然死42%,他の原因47%;p=0.195).

研究の限界: データが横断的である;回答の19%が代理人によるものである;疼痛の原因や場所や治療内容についての情報が得られていない.

結論: 死の4か月前から疼痛の有病率が増加するとは言えるが,死の2年前から老人の4分の1以上には既に疼痛が存在する.関節炎は,人生終末期の疼痛と強く関連している.

主たる資金提供源: National Institute of Aging(訳注:[米]国立老化研究所),National Center for Research Resources(訳注:米国立研究資源センター),National Institute on Musculoskeletal and Skin Diseases(訳注:[米]国立筋骨格・皮膚病研究所),National Palliative Care Research Center(訳注:米国立緩和ケア研究センター)

(翻訳:西岡亮治)

English Abstract

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