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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
骨折リスクに基づく女性の骨粗鬆症の治療
Osteoporosis Treatment Based on a Woman's Probability of Fracture
2 November 2010 | Volume 153 Issue 9 | Pages I-62
「患者さんへのまとめ」は,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
骨粗鬆症は骨密度の低下のことであり,将来の骨折リスクを高めます.骨粗鬆症は二重エネルギーX線吸収法(DXA法)と呼ばれるレントゲン撮影法で診断されます.この検査によって患者さんの骨密度が正常か低下しているかが分かります.骨密度は重要ですが,骨折のリスクファクターはこれだけではありません.加齢,喫煙,脚の長さも患者さんの骨折リスクに影響します.そこで専門家達が患者さんの将来の骨折リスクについて,骨密度を含めたすべてのリスクファクターから予想する方法を考案しました.専門家達は骨密度検査を受けた患者さんについては,将来の骨折リスクをこの方法で計算し,その結果に基づいて治療するように推奨しています.2006年にカナダのマニトバ州当局はそれを実行しました.女性が骨密度検査を受けたときには,将来の骨折リスクが計算され骨密度検査の結果と共に患者さんに渡されました.

この研究の目的は何ですか?
骨折リスクを骨密度検査の結果と共に報告することで,骨密度検査のみの報告に比べて患者さんに対する処方内容が変化するかどうかを知るためです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
治療開始前に骨密度検査を受けた,50歳以上の女性とその担当医です.

どのような研究が行われましたか?
骨折リスク報告開始前と後に骨密度測定を受けた女性を対象にしました.すべての対象者の骨折リスクを計算し,低リスク,中リスク,高リスクに分類しました.そして各々のカテゴリーの女性について,骨粗鬆症治療薬を処方された患者さんの比率を骨折リスク報告開始の前後で比較しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
当局が骨密度検査に骨折リスク報告を追加してから,骨粗鬆症治療薬の処方は減りました.特に骨折リスクが低〜中等度の女性で顕著でした.高い骨折リスクの女性の処方に変化はみられませんでした.骨折の数も変わりませんでした.

この研究にはどのような限界がありますか?
この研究では骨折リスク報告を付け加えたことが,骨折治療薬の処方の変化に直接関係したかどうかは分かりません.骨折危険度の報告が骨折に影響がなかったと断定するには,研究期間中に起こった骨折の数は不十分でした.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
骨粗鬆症の治療薬は骨密度だけでなく,将来の骨折リスクも考慮に入れて選ぶべきであることが分かりました.将来の骨折リスクを計算して骨密度検査の結果と共に報告することで,骨折リスクが低い女性に対する無駄な処方が減りました.

(翻訳:新谷英滋)

English Abstract

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