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原著(Original Research)
心房細動の脳卒中予防におけるダビガトランとワルファリンの費用対効果の比較
Cost-Effectiveness of Dabigatran Compared With Warfarin for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation
James V. Freeman, MD, MPH; Ruo P. Zhu, BA; Douglas K. Owens, MD, MSc; Alan M. Garber, MD, PhD; David W. Hutton, PhD; Alan S. Go, MD; Paul J. Wang, MD; and Mintu P. Turakhia, MD, MAS
4 January 2011 | Volume 154 Issue 1 | Pages 1-11
背景: ワルファリンは心房細動(AF)患者における虚血性脳卒中のリスクを減少させるが,出血のリスクを増加させる.ダビガトランは固定用量の経口直接トロンビン阻害薬であり,心房細動患者における虚血性脳卒中と頭蓋内出血の発生率はワルファリンと比較し同等以下である.
本研究の目的は,65歳以上の非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中予防に対するダビガトランと用量調整したワルファリンの質調整生存年,費用,費用対効果を推定することである.

デザイン: Markov決定モデル

情報源: RE-LY(Randomized Evaluation of Long-Term Anticoagulation Therapy)トライアルと他の抗凝固療法に関する研究論文.ダビガトランの費用は英国の価格設定に基づいて見積もられた.

対象集団: 65歳以上の非弁膜症性心房細動で脳卒中危険因子(CHADS2スコアが1以上)を有し,抗凝固療法の適応がある患者

研究対象期間: 生涯.

展望: 社会性.

介入: ワルファリンによる抗凝固療法(目標INR:国際正常化比率2.0〜3.0);ダビガトラン110 mg 1日2回(低用量);ダビガトラン150 mg 1日2回(高用量).

結果判定: 質調整生存年(QALYs),費用(2008年米ドル),および増分費用対効果比率.

基本症例分析の結果: 質調整寿命はワルファリンで10.28 QALYs,低用量ダビガトランで10.70 QALYs,高用量ダビガトランで10.84 QALYsであった.総経費は,ワルファリンで143193ドル,低用量ダビガトランで164576ドル,高用量ダビガトランで168398ドルであった.増分費用対効果比率はワルファリンと比較し,低用量ダビガトランでQALYあたり51229ドル,高用量ダビガトランでQALYあたり45372ドルであった.

感度分析の結果: モデルはダビガトランの費用に影響されたが,他の入力項目には比較的影響を受けなかった.増分費用対効果比率は高用量ダビガトランで1日あたり13.70ドルの費用でQALYにつき50000ドルに増加したが,評価された全入力項目の全範囲でQALYにつき85000ドル未満に留まった.

研究の限界: イベント発生率は,大部分が1つの無作為化臨床試験に由来し,約2年の観察期間の臨床治験から35年の時間枠に当てはめられた.

結論: 65歳以上の非弁膜症性心房細動で脳卒中危険因子(CHADS2スコアが1以上)を有する患者において,ダビガトランは費用対効果に優れ,米国での価格設定に従うワルファリンの代替薬になる可能性がある.

主たる資金提供源: American Heart Association(訳注:米国心臓協会)とVeterans Affairs Health Services Research & Development Service(訳注:退役軍人健康サービス研究開発機構).

(翻訳:笠巻祐二)

English Abstract

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