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レビュー(Review)
系統的レビュー:進行大腸癌に対する抗EGF受容体治療の効果にKRAS遺伝子変異が及ぼす影響
Systematic Review: Anti-Epidermal Growth Factor Receptor Treatment Effect Modification by KRAS Mutations in Advanced Colorectal Cancer
Issa J. Dahabreh, MD; Teruhiko Terasawa, MD, PhD; Peter J. Castaldi, MD, MS; and Thomas A. Trikalinos, MD
4 January 2011 | Volume 154 Issue 1 | Pages 37-49
背景: セツキシマブやパニツムマブといった抗EGF受容体抗体を用いた進行大腸癌治療の,予測バイオマーカーとしてKRAS遺伝子変異は広範囲に研究されてきている.

目的: KRAS遺伝子変異の状況が,進行大腸癌に対する抗EGF受容体治療を主体とした治療の効果に影響を及ぼすかどうか,そして,KRAS遺伝子変異の状況で臨床アウトカムが予測できるかどうかについて要約する.

情報源: MEDLINEおよび2つの管理された遺伝情報データベース(2010年3月24日時点)を用いて観察研究が検索された.無作為化試験はMEDLINE,Cochrane Central Register of Controlled Trials,Cochrane Database of Systematic Reviews(訳注:英国のCochrane Collaborationが医療情報を収集,提供しており,Cochrane Central Register of Controlled Trialsは,適切にデザインされた臨床試験についての文献を集積したものである),およびDatabase of Abstracts of Reviews of Effects(2010年9月1日時点)を用いて検索された.報告言語による検索制限はしなかった.

研究の選択: 3人のレビューワーがタイトルおよび抄録を査読し,次のような臨床試験が選択された.すなわち,進行大腸癌に対する抗EGF受容体治療を主体とした治療が行われ,全生存や疾患進行のない生存,あるいは治療の失敗等治療効果にKRAS遺伝子変異の状況が影響を及ぼすかどうかについて評価した試験が選択された.

データ抽出: 3人の研究者が母集団,品質管理にかかわる条件を含む研究デザインの特徴,そして,調査されたアウトカムについてのデータを抽出した.無作為効果メタ解析は元になる試験が重複しないよう実施された.

データ合成: 抗EGF受容体治療を主体とした治療に対して最善の支援治療あるいは化学療法を比較した無作為化試験の4つの再解析の結果,KRAS遺伝子変異陽性患者では全生存や疾患進行のない生存について抗EGF受容体治療を主体とした治療に有意な利点は見られなかった(ハザード比,1.0).しかし,KRAS遺伝子が野生型の患者では抗EGF受容体治療が有用であるとする根拠がある.KRAS遺伝子変異陽性の患者と野生型の患者を対象とした無作為効果メタ解析を行った相対ハザード比は,全生存および疾患進行のない生存について,それぞれ1.30(95% CI,0.95〜1.78),および2.22(95% CI,1.74〜2.84)であった.抗EGF抗体で治療を受けた患者についての13のコホート研究の全生存についての全体のハザード比は1.79(CI,1.48〜2.17)であり,野生型EGF受容体遺伝子を有する患者の方が良好であった.同様に16のコホート研究を集計した疾患進行のない生存のハザード比は2.11(CI,1.74〜2.55)であった.22の研究の無作為効果2変量メタ解析による,KRAS遺伝子変異が治療効果の欠如を予測できる全体の感度は,0.49(CI,0.43 - 0.55)で全体の特異度は0.93(CI,0.87〜0.97)であった.

研究の限界: 無作為化試験によるエビデンスは限られている.遺伝子変異による治療の相互作用による修飾を評価するためには個別症例レベルのデータが必要である.出版バイアスも懸念されうるかもしれない.

結論: 抗EGF受容体抗体により治療された進行大腸癌患者では,KRAS遺伝子変異は一定して全生存や疾患進行のない生存の低下および治療失敗の増加と関連している.

主たる資金提供源: Agency for Healthcare Research and Quality.(訳注:米国ヘルスケア研究・品質局-AHRQ)

(翻訳:大島康雄)

English Abstract

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