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(更新日 2011年1月31日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
18 January 2011 Volume 154 Issue 2
(監修:林 正樹,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Original Research)
文化的に適切な経験談が血圧を改善する:無作為化試験
Culturally Appropriate Storytelling to Improve Blood Pressure: A Randomized Trial
Thomas K. Houston, Jeroan J. Allison, Marc Sussman, Wendy Horn, Cheryl L. Holt, John Trobaugh, Maribel Salas, Maria Pisu, Yendelela L. Cuffee, Damien Larkin, Sharina D. Person, Bruce Barton, Catarina I. Kiefe, and Sandral Hullett
多くの高血圧患者では,十分な血圧コントロールが達成されていない.この無作為化試験では,299例のアフリカ系アメリカ人の高血圧患者を,通常の治療群と,実際の高血圧患者の経験を提示した3種類の双方向ビデオを視聴した治療群とに割り当てた.検討開始時にコントロール不良であった高血圧患者で,経験(ビデオ)を視聴した群では,通常治療群に比べて,より良好な血圧コントロールが得られた.本研究から,高血圧に関する患者教育や血圧コントロールの改善に関して,経験談は効果的な方法であると考えられる.
(翻訳:塩田哲也)
アメリカ合衆国のC型肝炎に罹患した退役軍人の肝臓癌に対する検診施行率
Utilization of Surveillance for Hepatocellular Carcinoma Among Hepatitis C Virus-Infected Veterans in the United States
Jessica A. Davila, Louise Henderson, Jennifer R. Kramer, Fasiha Kanwal, Peter A. Richardson, Zhigang Duan, and Hashem B. El-Serag
ガイドラインでは肝硬変患者に対して肝臓癌のスクリーニングが推奨されている.しかし,患者がどの程度の頻度で推奨されるスクリーニングを受けているかは明かではない.Veterans Affairs(訳注 退役軍人局) のデータを解析した今回の調査では,肝硬変を有する退役軍人の12%がα-フェトプロテイン,または腹部超音波検査のどちら一方を毎年1回施行していた.58.5%は不定期にスクリーニングを受けており,29.5%は全くスクリーニングを行っていなかった.これらのデータは,肝臓癌の危険性のある患者に対するスクリーニング率を改善する戦略が必要であることを示している.
(翻訳:松田正典)
心不全治療の業務プロセス,転帰および費用と病院規模との関連性
The Association Between Hospital Volume and Processes, Outcomes, and Costs of Care for Congestive Heart Failure
Karen E. Joynt, E. John Orav, and Ashish K. Jha
治療の進歩にもかかわらず,多くの心不全患者は,最善の転帰に至ってない.アメリカ合衆国における心不全による入院患者のうち,心不全の入院病床の多い病院に入院した患者では規模の小さい病院に入院した患者に比べて死亡率が低く,再入院が少なく,医療費が高い.如何なる医療行為が大規模の病院における有利な転帰の原因であるかを理解することにより,すべての心不全患者の転帰を改善させる方策が特定できるかもしれない.
(翻訳:吉田 博)
基礎インスリン治療中の2型糖尿病患者に対する1日2回のエキセナチド使用:無作為化比較試験
Use of Twice-Daily Exenatide in Basal Insulin-Treated Patients With Type 2 Diabetes: A Randomized, Controlled Trial
John B. Buse, Richard M. Bergenstal, Leonard C. Glass, Cory R. Heilmann, Michelle S. Lewis, Anita Y.M. Kwan, Byron J. Hoogwerf, and Julio Rosenstock
この無作為化試験は,インスリングラルギン治療を行っている2型糖尿病患者でプラセボに比して,エキセナチドの1日2回投与がヘモグロビンA1cを低下させるか否かを評価した.30週後,エキセナチドは,プラセボに比しヘモグロビンA1cと体重を減少させたが,吐き気,下痢,嘔気や頭痛を生じた.両群間で,低血糖頻度は同等であった.
(翻訳:金原秀雄)
研究と報告の方法(Research and Reporting Methods)
臨床試験における欠損データへの対応
Addressing Missing Data in Clinical Trials
Thomas R. Fleming
欠損データは臨床試験による結果の信頼性と解釈力を減弱させる.欠損データに対応するためにしばしば用いられる方法は,たいてい不十分である.合理的なテータ補完の方法が有用かもしれないが,検証不可能な仮定に依存している.最善の方法はデータの欠損を防ぐことである.この論文では,追跡を向上させ欠損データを減らすことが可能な臨床試験のデザイン,実施,分析の方法について議論している.
(翻訳:渡邊清高)
見解と意見(Ideas and Opinions)
アメリカ合衆国における国民皆保険制度:このまま消滅するのか?
Universal Health Care Coverage in the United States: Is It "Slip Slidin' Away"?
Robert B. Doherty
この解説では,Affordable Care Act(ACA)および2010年11月の選挙が医療保険改正に対する影響についての討論に関して考察している.著者らは,医療保険を受ける権利が空前の危機となっているにも関わらず,Affordable Care Actの討論が,医療保険未加入者に焦点があっていないと言及している.全米国民にaffordable health care coverageを提供することが必須であり,法律作成者に保険の適用範囲を広げる機会を消滅させることは許されないと,確信させるために医師たちは重要な役割を担うことができる.
(翻訳:山前正臣)


医学と公衆衛生の話題(Medicine and Public Issues)
法解釈に埋もれて:事前指示書法が臨床ケアに及ぼした予期せぬ結果
Lost in Translation: The Unintended Consequences of Advance Directive Law on Clinical Care
Lesley S. Castillo, Brie A. Williams, Sarah M. Hooper, Charles P. Sabatino, Lois A. Weithorn, and Rebecca L. Sudore
この論文は,米国50州およびワシントンD.C.の事前指示書法を検証し,識字能力の欠如,代理人の制限,執行および証人に関する規約といった終末期のケアを阻害しうる障壁を明らかにした.これらの障壁は,十分な識字能力の欠如するもの,英語力を欠くもの,あるいはその双方で事前指示書を理解できず執行することのできないもの,また信頼できる代理人を欠く可能性のある同性または内縁のパートナー,そして助けとなる人間のいない患者,施設収容者,あるいはホームレスなど証人や適切な代理人を失っているかもしれない患者などに対して特有のリスクを示した.
(翻訳:市堰 肇)
論評(Editorials)
経験談:高血圧治療の新しい介入方法
Storytelling: A Novel Intervention for Hypertension
Kimberly R. Myers and Michael J. Green
この研究でHoustonと同僚らは,ほかの患者の経験談を聞くことによって,血圧コントロール不良のアフリカ系アメリカ人の血圧が低下すると報告している.著者らは,この知見に関する考察および,医師たちが,患者たちの経験談をほかの母集団に日常的に治療に取り入れてよいのかどうかを考察している.
(翻訳:山前正臣)


2型糖尿病における臨床的意義のある比較有効性研究の潮時
Time for Clinically Relevant Comparative Effectiveness Studies in Type 2 Diabetes
David M. Nathan
この研究でBuseと同僚らは,1日2回エクセナチドを投与すると,プラセボと比較してインスリングラルギンを投与されている2型糖尿病の患者においてはヘモグロビンA1cレベルを下げると報告した.著者らは,この試験の限界について考察している.また,薬物治療がどんどん複雑化していることから,2型糖尿病の最善の治療法を検討するために長期比較有効性試験を勧めている.
(翻訳:山前正臣)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
患者さんの経験談を使って血圧コントロールを改善する
Using Patient Stories to Improve Blood Pressure Control
(翻訳:浦野哲哉)
C型肝炎ウイルス陽性の肝硬変患者さんを対象とした肝がん検診
Screening for Liver Cancer in Patients With Hepatitis C Virus Infection and Cirrhosis
(翻訳:新谷英滋)
インスリン治療にエクセナチドを加えるのは2型糖尿病患者の利益になるだろうか?
Does Adding Exenatide to Insulin Treatment Benefit Patients With Type 2 Diabetes?
(翻訳:小山雄太)
ACP Journal Club
レビュー:PSAを用いる前立腺癌のスクリーニングは,死亡率を減少させない.
Review: Prostate cancer screening using PSA does not decrease mortality
48時間のシサトラクリウム投与は,早期・重症ARDSの90日後の死亡率を減少させた.
48 hours of cisatracurium reduced 90-day mortality in patients with early, severe ARDS
INRを週1回自己検査することは,月1回の診療所での検査と比べて,脳卒中,重大な出血,あるいは死亡の発生率を減少させなかった.
Weekly INR self-testing did not reduce stroke, major bleeding, or death more than monthly clinic testing
レビュー:Dダイマー陽性という結果は,検査のタイミング,カットポイント,あるいは患者の年齢にかかわらず,特発性静脈血栓塞栓症初発後の再発を予測する.
Review: Positive D-dimer results predict recurrence after first unprovoked VTE regardless of test timing or cutpoint, or patient age
地域でINRをコントロールすることは,心房細動における重大な出血という点で,ワーファリンと比較したダビガトランの利点に,いくらかの影響を及ぼした.
Local INR control had some effect on the benefits of dabigatran over warfarin for major bleeding in atrial fibrillation
クロピドグレルまたはアスピリンの増量は,心血管イベントを予防しなかった.
Increased doses of clopidogrel or aspirin did not prevent cardiovascular events
症候性頸動脈狭窄における頸動脈ステント術は,内膜剥離術よりも短期間における脳卒中あるいは死亡のリスクを増加させた.
Carotid artery stenting increased short-term risk for stroke or death more than endarterectomy in symptomatic carotid stenosis
変形性関節症あるいは関節リウマチの患者において,セレコキシブはオメプラゾールと併用したジクロフェナックよりも消化管イベントを減少させた.
Celecoxib reduced GI events more than diclofenac plus omeprazole in patients with osteoarthritis or rheumatoid arthritis
アカンプロセートはアルコール依存の患者において禁酒率を高める.
Review: Acamprosate increases abstinence in patients with alcohol dependence
レビュー:末梢動脈疾患における狭窄・閉塞の診断において,造影剤で強調したMRAは正確度が高い.
Review: Contrast-enhanced MRA is highly accurate for diagnosing steno-occlusions in peripheral arterial disease
レビュー:便中のカルプロテクチンは,成人において炎症性腸疾患の疑いをスクリーニングするのに正確であるが,小児においては正確性に乏しい.
Review: Fecal calprotectin is accurate for screening for suspected IBD in adults but less so in children
看護師により用いられるCanadian C-Spine Rule(訳注:カナダ式頸髄の法則)は,外傷患者の頸髄損傷を正確に診断した.
The Canadian C-Spine Rule, used by nurses, accurately identified cervical-spine injury in patients with trauma
用語集
Glossary
(翻訳:松浦喜房)

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