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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
患者さんの経験談を使って血圧コントロールを改善する
Using Patient Stories to Improve Blood Pressure Control
18 January 2011 | Volume 154 Issue 2 | Pages I-24
「患者さんへのまとめ」は,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
高血圧は心臓発作,心不全,腎不全,脳卒中などの問題を引き起こす可能性があります.血圧を下げることはこれらの問題を防ぐ助けになります.しかし,残念なことに,治療を受けている人ですら,しばしば健康的な血圧には達していません.血圧の治療には食事療法,運動療法,薬物療法が含まれます.食事療法や規則的な運動療法に従い,毎日薬を内服することが大変だと,多くの人々が感じています.そして血圧が非常に高い患者さんでも,普段は無症状であるため,多くの高血圧患者さんは,血圧を下げる重要性を理解していません.食事療法や運動療法のアドバイスに従い,処方通りに薬を内服することに対する高血圧患者さんのモチベーションを上げるための新たな方法が役に立つかもしれません.

この研究の目的は何ですか?
他の高血圧患者さんの経験談を聴くことが,血圧コントロールを改善するかどうかを調べることが目的です.

どのような人たちが研究の対象になっていますか?
アラバマ州バーミンガムにある低所得者のために開設されている診療所で治療を受けている229人のアフリカ系アメリカ人高血圧患者さんが対象です.これらの患者さんの血圧コントロールはまちまちでした.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者たちは患者さんから高血圧に関する経験談を聴き,高血圧に関する説得力のある自身の話をした14人の高血圧患者さんを同定しました.次に研究者たちは,自身の話をしている人たちの短いビデオを含む3枚のDVDを作りました.患者さんは2通りのDVDのどちらか一方を見るように割り付けられました.経験談群は高血圧に関する話を含む経験談DVDを見ました.対照群は高血圧とは関係ない健康に関する情報を含むDVDを見ました.すべての患者さんは最初のビデオを診療所で見ました.そして,続く2つのビデオはそれぞれの自宅へ郵送されました.研究者たちは患者さんの血圧を,最初と3,6,9か月後で測定しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
測定開始時点では,両群間に血圧の差はありませんでした.3か月後,対照群の患者さんに比べ,経験談群の患者さんの血圧にはよりよい改善がみられました.しかし,改善の多くは,測定開始時点での血圧コントロールが不良であった患者さんにみられたものでした.対照DVDに比較した経験談DVDの有効性は,測定開始時に血圧のコントロールが不良であった患者さんにおいて,6か月から9か月の間,維持されました.

この研究にはどのような限界がありますか?
ほぼ1/4の患者さんが血圧測定の経過観察前に,この研究から脱落しました.患者さんたちが自宅に郵送されたDVDを実際に見たかどうか,判りません.他のタイプの患者さんや医療機関では結果は異なるかもしれません.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
他の高血圧患者さんの経験談を聴くことが,治療を受けているにもかかわらず血圧が高いままの患者さんの血圧コントロールを改善する可能性があることを,この研究は示唆しています.

(翻訳:浦野哲哉)

English Abstract

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