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原著(Original Research)
アメリカ合衆国のC型肝炎に罹患した退役軍人の肝臓癌に対する検診施行率
Utilization of Surveillance for Hepatocellular Carcinoma Among Hepatitis C Virus-Infected Veterans in the United States
Jessica A. Davila, PhD; Louise Henderson, PhD; Jennifer R. Kramer, PhD; Fasiha Kanwal, MD, MSHS; Peter A. Richardson, PhD; Zhigang Duan, MD, MS; and Hashem B. El-Serag, MD, MPH
18 January 2011 | Volume 154 Issue 2 | Pages 85-93
背景: ガイドラインでは,C型肝炎ウイルス感染による肝硬変患者(HCV肝硬変患者)に対して肝癌のスクリーニングが推奨されている.しかし,スクリーニングが推奨通りに行われているかは知られていない.

目的: Veterans Affairs(VA)health care facilities in the United States(訳注 アメリカ合衆国退役軍人局健康管理施設)でのHCV肝硬変患者に対する肝癌スクリーニングの施行率と決定因子を調査した.

研究デザイン: national VA Hepatitis C Clinical Case Registry(訳注 退役軍人局C型肝炎症例登録)からのデータを利用したHCV肝硬変患者への後向きコホート研究.

セッティング: VA medical centers(訳注 退役軍人医療センター)128施設.

患者: 1998年から2005年の間に診断されたHCV肝硬変患者.

測定: 肝癌のスクリーニング目的である腹部超音波検査とα-フェトプロテイン測定は,先行研究で有効性が認められたアルゴリズムを用いて管理データから抽出された.肝硬変診断後の4年間に,少なくとも2年連続定期的にスクリーニングを施行された群,不定期に少なくとも1回のスクリーニングが施行された群,スクリーニングが施行されなかった群に患者は分類された.

結果: 126,670人のHCV肝炎患者が抽出された.13,002人(10.1%)は,肝硬変と診断された.約42.0%のHCV肝硬変患者は,肝硬変の診断後の最初の1年以内に,1回以上肝癌のスクリーニングが施行された.スクリーニングの頻度は2〜4年で低下した.肝硬変と診断後少なくとも2年連続で定期的にスクリーニングされた群は12.0%,不定期にスクリーニングされた群は58.5%,全くスクリーニングされなかった群は29.5%であった.身体疾患や精神疾患の合併が少ないこと,食道静脈瘤の存在すること,非代償性肝硬変ではないことは定期的なスクリーニングと高い相関がみられた.

研究の限界: 肝臓癌のスクリーニング検査は,登録データから間接的に確認された.医師がスクリーニングをHCV肝硬変患者に勧めたかどうかは確認できなかった.

結論: ほとんどのHCV肝硬変退役軍人患者は,肝癌のスクリーニング検査を定期的に施行されていなかった.肝癌のスクリーニングの向上のために新たな戦略が必要である.

主たる資金提供源: Houston Veterans Affairs Health Services Research and Development Center of Excellence(訳注 ヒューストン退役軍人健康サービス研究開発機構),National Cancer Institute(訳注 米国立癌研究所).

(翻訳:松田正典)

English Abstract

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