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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
C型肝炎ウイルス陽性の肝硬変患者さんを対象とした肝がん検診
Screening for Liver Cancer in Patients With Hepatitis C Virus Infection and Cirrhosis
18 January 2011 | Volume 154 Issue 2 | Pages I-36
「患者さんへのまとめ」は,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
肝硬変の患者さんは肝機能が正常な人と比べると肝細胞がんのリスクが高いことが知られています.肝細胞がんの治療はがんを早期に発見する方が効果的なので,肝硬変の患者さんは毎年定期的に肝細胞がんの検査をうけることが推奨されます.肝がんのスクリーニング検査(検診)では血液検査と腹部エコー検査が行われます.C型肝炎ウイルスに感染している患者さんは肝硬変に進行する頻度が高いですが,C型肝炎ウイルスに感染している患者さんに対して肝細胞がんの検診がきちんと行われているかどうかは明らかではありません.

この研究の目的は何ですか?
肝細胞がんリスクの高い患者さんに肝細胞がんの検診がきちんと行われているかどうかを調べ,それらの患者さんに対する医療に改善の余地があるかどうかを探るためです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
1998年から2005年にVeterans Affairs health care system(訳注:退役軍人健康管理施設)を受診したC型肝炎ウイルスに感染している患者さん128,505名です.

どのような研究がおこなわれましたか?
電子的登録データからC型肝炎ウイルスによる肝硬変の患者さんを抽出し,5年間の調査期間中に肝細胞がんの検診(腹部エコー検査および血液検査)が行われたかどうかを調べました.2年以上連続して検診を受けた場合を充分な検診を受けたグループ,一回以上検診を受けているが連続して受けていない場合を不充分な検診を受けたグループ,5年間の調査期間の間に肝細胞がんの検診のうち腹部エコー検査および血液検査のいずれも受けていない場合を検診を受けていないグループと分類しました.

この研究からどのような結論が出ましたか
定期的な肝細胞がんの検診はC型肝炎ウイルス陽性の肝硬変の患者さんの12%のみにしか行われておらず,不定期の不充分な検診しか受けていない患者さんが58.5%に上りました.そして,およそ30%の肝硬変の患者さんは検診を受けていませんでした.またその他の身体の病気や精神的な病気が合併したり,肝臓の病気が重かったりすると,定期的な検診をうけている割合はさらに少なくなりました.

この研究にはどのような限界がありますか?
研究者たちは医療記録を直接確認できなかったので,医師が検診を患者さんに勧めたにもかかわらず,あるいは医師が検診のオーダーを出したにもかかわらず実際には検診が行われなかったのかどうかは明らかではありません.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
肝細胞がんの高いリスクをもつにもかかわらず,C型肝炎ウイルス陽性肝硬変の退役軍人の患者さんのごく一部しか定期的な肝細胞がんの検診を受けていないことがわかりました.リスクの高い患者さんにおける検診普及のためにはさらなる研究が必要です.

(翻訳:新谷英滋)

English Abstract

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