Journals

患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
インスリン治療にエクセナチドを加えるのは2型糖尿病患者の利益になるだろうか?
Does Adding Exenatide to Insulin Treatment Benefit Patients With Type 2 Diabetes?
18 January 2011 | Volume 154 Issue 2 | Pages I-40
「患者さんへのまとめ」は,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
2型糖尿病は食物から得たエネルギーを保存するという身体能力を妨げ,結果として生ずる高血糖が腎不全,失明,心疾患などをもたらします.インスリンは食物から貯蔵エネルギーに変換するのを助け,血糖レベルを正常範囲に保ちます.2型糖尿病は,身体の組織がインスリンの効果に対して抵抗性を持ってしまうため,患者さんは血糖値を正常に保つために必要なインスリン量が足りなくなっています.経口血糖降下薬を飲んだり,必要に応じてインスリン注射を打つことが一部の患者さんには助けになります.しかし,これらの治療をしていても血糖値が依然として高いままのこともあります.

エクセナチドという注射薬がこれらの患者さんに有効かもしれません.エクセナチドはインスリン分泌の増加を引き起こし,血糖値を下げるのに役立ちます.この薬はまた消化を遅くし,食事摂取量を減らすように働き,多くの糖尿病薬が体重増加をもたらすのとは違って体重を減少させます.

この研究の目的は何ですか?
2型糖尿病患者でエクセナチドをインスリンと一緒に用いた場合の功罪を調べた研究がほとんどなかったからです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
長時間作用・1日1回投与型インスリン(グラルギン)単独か経口血糖降下薬(メトフォルミンかピオグリタゾン)を併用投与されている261人の2型糖尿病患者が対象となりました.この患者群は体格指数(BMI)が極端な肥満のカットオフ値以下(45kg/m2かそれ以下)であり,グリコヘモグロビン(HbA1c)が7.1〜10.5%でした.HbA1cとは過去3か月における血糖コントロールの善し悪しをはかる血液検査のことです.この数値が低いほどコントロールがよく,7%以下が推奨される目標値です.

どのような研究がおこなわれましたか?
参加者はインスリングラルギンを投与され,それまで内服しているようであれば経口血糖降下薬を継続した状態で,エクセナチド投与群かプラセボ群に無作為に割り付けられました.両群とも,空腹時血糖が目標値に達するようにインスリン量を増減して最適化させました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
エクセナチド投与群では血糖値が著しく減少し,60%の患者でHbA1cが正常範囲内に到達しましたが,プラセボ群では35%でした.エクセナチドを投与された患者では,プラセボ群に比べてインスリン投与量の増加は小幅でした.エクセナチド投与群では平均で体重が4ポンド減りましたが,プラセボ群では平均2ポンド増加していました.嘔気(エクセナチド群41%,プラセボ群8%),下痢(同18%,8%),嘔吐(同18%,4%),頭痛(同14%,4%),そして便秘(同10%,2%)がエクセナチド群でプラセボ群よりも増加していました.低血糖の出現頻度は両群で同様でした.

この研究にはどのような限界がありますか?
エクセナチドを投与された138人の患者のうち,好ましくない副作用のために13人が治療を中止しました.この研究は6か月間しか行われておらず,エクセナチドとインスリンを併用した療法の長期的な影響は不明のままです.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
インスリングラルギン治療にエクセナチドを加えることにより,コントロール不良の2型糖尿病患者において血糖値をさらに低下させることができ,またある程度体重を減少させることができます.しかしながら,副作用や注射が必要であることから,ある患者では治療に耐えられない可能性があります.

(翻訳:小山雄太)

English Abstract

▲このページのTOPへ