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医療と公衆衛生の話題(Medicine and Public Issues)
法解釈に埋もれて:事前指示書法が臨床ケアに及ぼした予期せぬ結果
Lost in Translation: The Unintended Consequences of Advance Directive Law on Clinical Care
Lesley S. Castillo, BA; Brie A. Williams, MD; Sarah M. Hooper, JD; Charles P. Sabatino, JD; Lois A. Weithorn, PhD, JD; and Rebecca L. Sudore, MD
18 January 2011 | Volume 154 Issue 2 | Pages 121-128
背景: 事前指示書法は,尊厳死に関する患者本人の文書の効力を低下させる可能性がある.

目的: 患者自身の人生終末における採択の意思疎通を阻害するかもしれない,事前指示書法の予期せぬ法的な帰結を明らかにする.

情報源: 全米50州とワシントンD.C.の事前指示書に関する法規と,1996年から2010年8月までのLexisNexis,Westlaw,およびMEDLINEの英文公式文書調査

研究の選択: 独立した2名の校閲者が,51の事前指示書法と20の条項を選択した.独立した3名の法律評論家が105の訴訟手続きを選択した.

データ抽出: 2名の校閲者がそれぞれ独立して情報源を評価し,事前指示書の臨床効果に対する法律の壁を判定するために批評的内容分析を使用した.双方の合意を得て意見の統一がなされた.

データ合成: 法律と内容に関する障壁には,文章のわかりにくさ(すなわち,法律は全州において12年生レベル以上の内容で記載されている),保険会社あるいは代理人に関する制限(例えば,40州では既定の代理人として同性あるいは内縁のパートナーを含んでいない),法的に有効な形式を要求する執行規約(例えば,35州は口頭での事前指示書を認めておらず,48州では証人の署名または公証人,あるいは双方を要求)などがある.これらの障壁の影響を最も受けやすいのは,十分な識字能力の欠如するもの,英語力を欠くもの,あるいはその双方で事前指示書を理解できず執行することのできないもの,また法的に無効でかつ信頼に値する代理人を欠く可能性のある同性または内縁のパートナー,そして助けとなる人間のいない患者,施設収容者,あるいはホームレスなど証人や適切な代理人を失っているかもしれない患者などである.

研究の限界: 上告レベルの案件のみ検討されており,今回の問題に適切な案件が含まれていない可能性がある.

結論: 事前指示書の法的拘束の意図せぬ負の結果は,全ての患者,殊に脆弱な患者の終末期の意思決定および疎通を阻害し,尊厳死を妨げることになるかもしれない.このような制限は事前指示書の臨床的意義を低下させた.文書のわかりやすさ,口頭での記録の許可,証人や公証人なしでも出来るようにすることなどが推奨される.

主たる資金供給源: US Department of Veterans Affairs Health Services Research(訳注:米国退役軍人局)およびファイザー基金

(翻訳:市堰 肇)

English Abstract

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