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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
高価値かつコスト意識の高いヘルスケア
High-Value, Cost-Conscious Health Care
1 February 2011 | Volume 154 Issue 3 | Pages I-30
「患者さんへのまとめ」は,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

これらの提案を誰がしたのですか?
内科医や成人病の専門医より構成される米国内科学会(ACP)がこの提案を発信しました.

今までのところ何が問題で,何が分かっているのですか?
米国でのヘルスケアに係る支出は増加の一途を辿っています.このまま何もされないならば,住宅,輸送,食事,学校教育といった他の重要事項に使用可能な予算が削減されることになりかねません.米国民は,今なにをすべきかを決定し医療費を浪費しないことが求められています.ACP は,検査と治療の価値を重視することが,米国民が公平に優れた医療を享受することを実現化する一方で,医療費管理の一助となると考えています.

“高価値”とは,診断と治療の状況の中で何を意味しますか?
“高価値”とは,有害事象や費用を価値のあるものへ変える有益性を持った検査や治療を意味します.“価値”とは,“安価”と同義ではありません.幾つかの高価な検査や治療は,高い有益性と低い有害性ゆえに高価値であり,幾つかの安価な検査と治療は,その低価格を正当化するだけの有用性がなく有害でさえあるかもしれないという理由により低価値なのです.

検査や治療の価値を私たちはどうやって判断したらよいでしょうか?
まず最初に,検査や治療の有用性,有害性,費用を考えます.有用性には健康や生活の質の改善も含めます.有害性には,有害事象,不必要な医療,もしくは最終的に患者を傷めてしまう処置までも含めます.次に,費用には,検査や治療自体の費用に加えて,検査や治療によって引き起こされた不要な事象すべての費用も含まれます.3番目に,異なる検査や治療を,有用性,有害性,医療様式の費用を他と比較しつつ,費用対効果分析にて評価します.相対的有効性の検討は,患者さんや供給者,政策立案者が異なる種類の医療の有用性や有害性を比較するのに役立ちます.

何故それほど多くの低価値な検査や治療が米国では蔓延しているのでしょうか?
多くの患者さんは検査や治療が多い医療の方が優れていると考えていて,そのため聞き覚えのある検査や治療を医師が実施しないと失望するものです.医師にとっても,患者さんに何故それをしないのかを説明するよりも,検査や治療を実施する方が容易であるようです.検査や治療が多くなれば,それらを作っている会社や,医師や病院により多くの利益をもたらします.従って,広告や他の商用手段も人々がその検査や治療を欲するように設計されているのです.医師が患者さんの期待権に反した場合の医療訴訟のリスクを心配するようになるのも理由のひとつです.

患者さんと医師に対してACPは何を推奨するか?
医師と患者さんは検査と治療の価値を熟慮し,高価値な医療を選択すべきでしょう.結果的に医療の改善が見られないか少ないもの,患者に有害性や余分な費用を強いる検査や治療は避けるべきです.医師が患者さんの現病歴や身体診察法を用いて,検査や治療の価値が高いかどうかを判定することを推奨します.検査や治療の価値を考察する時に,患者さんと医師は有用性と価格だけではなく,有害事象や他の起こりえる可能性のある様々な事象についても考慮すべきでしょう.

(翻訳:中村浩士)

English Abstract

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