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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
腰痛患者さんへの放射線検査:American College of Physiciansからの価値の高いヘルスケアの提案
Radiology Tests for Patients With Low Back Pain: High-Value Health Care Advice From the American College of Physicians
1 February 2011 | Volume 154 Issue 3 | Pages I-36
「患者さんへのまとめ」は,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

誰がこの勧告を策定しましたか?
米国内科学会(ACP)がこの提案を策定しました.ACPの会員は成人を治療する内科医や専門医です.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
腰痛はごくありふれたもので,たいていは,骨,筋肉,靭帯(筋骨格系)への負荷により生じます.筋骨格系に由来する腰痛は,ひどく痛みますが,たいていは2,3日から1か月程で消失します.ときどき,投薬や運動が症状の消失の助けになります.いくつかの研究は,放射線検査(単純X線検査,CTスキャン,MRI)が,初期の治療にもかかわらず痛みが悪化する場合や,患者さんが神経障害や重篤な医学的な状態にある兆候がみられる場合に限り有用であることを示しています.そのような兆候とは体重減少,発熱,神経反射の異常,下肢の筋力や感覚の低下です.腰痛患者さんのほとんどは放射線検査が必要ないのですが,たくさんの患者さんが検査を受けています.

重篤な状態と関係する症状がない腰痛患者さんにルーチンの放射線検査を実施することにどんな有用性があるのですか?
筋骨格系の腰痛に対するルーチンの放射線検査は何の利益もありません.6つの信頼できる研究は筋骨格系の腰痛患者さんに対して,ルーチンの放射線検査を実施する場合と実施しない場合とについて比較検討したところ,検査の実施の如何にかかわらず患者さんの経過は同じであることを示していました.いくつかの研究では,ルーチンの検査を受けない患者さんで経過がよかったことをすら示唆していました.

重篤な状態と関連する症状のない腰痛患者さんに放射線検査を実施することで害になることは何ですか?
検査はしばしば脊柱(椎体骨)の変化や椎体骨と椎体骨の間隙(椎間板)の変化を示します.これらの変化はしばしば腰痛の原因ではなく,腰痛のない患者さんにおいても一般的にみられるものです.しかし,医師や患者さんはしばしば,それらの変化がみられると,背部の手術など何かをしなければならないと感じます.そこで,多くの患者さんが,腰痛患者さんの中でごく少数の患者さんにだけに適応となる手術の危険にさらされることになります.放射線検査は,また患者さんを被爆させますし,被爆によりがんの危険が徐々に増すかもしれません.

なぜそんなにたくさんの不必要な画像検査が腰痛患者さんに実施されているのですか?
患者さんは,しばしば診察を受けると検査を期待します.患者さんは,たくさんの検査を受けるとよりよい診療を受けていると思うことや,検査を受けないと満足しないことがあるからです.医師にとって,検査をすることは,その検査が無益であることを説明することよりも簡単でありえます.検査をしなければ訴えられるのではないかと心配する医師もいます.

患者さんと医師はどうすべきであるとACPは何を示唆していますか?
医師は,腰痛が筋骨格系によるものか重篤な状態によるものかを決定するために,患者さんの病歴や身体所見を用いるべきです.医師は単純X線検査,CT,MRIを重篤な状態により腰痛が生じていると疑わない限り実施すべきではありません.筋骨格系の腰痛患者さんには,腰がひどく痛むのにもかかわらずなぜ検査が必要でないのか理解できるよう情報が必要です.医師と患者さんは腰痛の予想される経過,活動的であることの重要性,痛みや炎症に対する投薬,加温パッドや運動,非薬物治療などの自己治療の選択肢について議論すべきです.

(翻訳:加藤秀章)

English Abstract

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