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クリニックから(In the Clinic)
多嚢胞性卵巣症候群
The Polycystic Ovary Syndrome
1 February 2011 | Volume 154 Issue 3
 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は出産年齢の女性が罹患する,よくあるホルモン障害である.罹患率は基準によりさまざまであるが,5%から15%と見込まれる.近年,この疾患の認識と理解が有意に改善した.しかし,まだなお,十分に診断されていない.The European Society for Human Reproduction and Embryology and the American Society for Reproductive Medicine(ESHRE/ASRM)(訳注:欧州ヒト生殖医学胎生学会/米国生殖医学会)は,PCOSは不規則な月経周期やアンドロゲン過剰を引き起こす他の疾患を除外したのち,少なくとも以下の項目が2つあれば診断すべきであると推奨した.すなわち,希発排卵や無排卵,血漿アンドロゲン値の上昇かアンドロゲン過剰の臨床的徴候,超音波上の多嚢胞性卵巣である.これらの基準は最も一般的に用いられているが,一方でいわゆる「NIH(訳注:[米]国立衛生研究所)基準」,「the Androgen Excess Society(訳注:アンドロゲン過剰学会)基準」と呼ばれるその他の専門家に支持されている2つの別の基準がある.
 病態生理学的には,PCOSは卵巣,アンドロゲン,ゴナドトロピンやインスリンの複雑な相互作用からなり,まだ完全には解明されていない.PCOSでは,しばしば卵胞は排卵を引き起こす大きさまで成長できない.そして卵巣の中で多くの小さな嚢胞が発育し集積する.結果としてホルモンバランスが崩れる.しかしながら,多嚢胞性卵巣は必ずしもPCOSと診断するために必要がなく,また,多嚢胞性卵巣の存在だけではPCOSとの確定診断には至らない.
 PCOSの影響は軽微なものから重症なものまで及んでいて,不妊や多毛,座瘡,脱毛症,インスリン抵抗性を含む.PCOSはまた,様々な病気,2型糖尿病や脂質異常症(Box参照:生涯の健康合併症)など長期のリスクを増強すると思われる.

(翻訳:澤木秀明)

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