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原著(Original Research)
高齢米国人における肥満と変形性膝関節症が罹患率および死亡率に与える影響
Impact of Obesity and Knee Osteoarthritis on Morbidity and Mortality in Older Americans
Elena Losina, PhD; Rochelle P. Walensky, MD, MPH; William M. Reichmann, MA; Holly L. Holt, BA; Hanna Gerlovin, BA; Daniel H. Solomon, MD, MPH; Joanne M. Jordan, MD, MPH; David J. Hunter, MD, PhD; Lisa G. Suter, MD; Alexander M. Weinstein, BA; A. David Paltiel, PhD; and Jeffrey N. Katz, MD, MSc
15 February 2011 | Volume 154 Issue 4 | Pages 217-226
背景: 肥満と変形性膝関節症は50歳から84歳の米国人に生じている最もありふれた慢性病態である.

研究の目的: 肥満と変形性膝関節症による生活の質を調整した生存年(以下QALYs)の損失と,肥満患者を10年前のレベルまで減らすことの健康上の利益を算出する.

研究デザイン: 米国人口調査と全国的情報源による肥満患者データを有症状の変形性膝関節症患者の概数と結合させ,50歳から84歳の対象者を以下の4亜集団に区分した:変形性膝関節症を有しない非肥満者(対照群),変形性膝関節症を有する非肥満者,変形性膝関節症を有しない肥満者,変形性膝関節症を有する肥満者.対照群に対する変形性膝関節症と肥満によるQALYsの損失を算出するために,コンピュータによる変形性膝関節症と肥満のシミュレーションモデルである「変形性関節症ポリシーモデル」を用いた.

セッティング: アメリカ合衆国

対象: 50歳から84歳の米国人

測定: 変形性膝関節症と肥満によるQALYsの損失

結果: 算出されたQALYs損失の合計は,一人あたり変形性膝関節症を有する非肥満患者の1.857から両方の罹患者の3.501までの範囲であり,肥満,変形性膝関節症のいずれか,または両方によるQALYsの損失は総計で8,600万年となった.変形性膝関節症と肥満の一方または両方によるQALYsの損失は,50歳から84歳の人々の残余QALYsの10%から25%に相当する.ヒスパニック系および黒人女性では不釣り合いに損失が大きかった.モデルが見出した結果は,肥満患者数を10年前のレベルに戻すことは178,071名の冠動脈心疾患,889,872名の糖尿病,及び111,206件の膝関節置換術を減少させることを示していた.同様に肥満患者数が減少することは,50歳から84歳の米国成人において全生存を6,318,030年延長し,7,812,120 QALYsの余命改善をもたらすこととなる.

研究の限界: 合併患者数は一般人口の余命に基づいて算出した数から抽出しており,実際より少なく算出した可能性がある.解析値はモデルに基づき投影された値と外部情報源のデータの同等性を確かめることで較正した.

結論: 変形性膝関節症と肥満によってQALYs値の損失は相当なものと思われ,特に黒人ないしヒスパニック系女性では不釣り合いに大きな損失であった.これらの集団においてBMIの平均値を10年前のレベルに戻すことは大きな健康上の利益をもたらすだろう.

主たる資金提供源: National Institute of Health(訳注:国立衛生研究所)とArthritis Foundation(訳注:関節炎財団)

(翻訳:小池竜司)

English Abstract

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