Journals

診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
入院患者の強化インスリン療法:系統的レビュー
Intensive Insulin Therapy in Hospitalized Patients:A Systematic Review
Devan Kansagara, MD, MCR; Rongwei Fu, PhD; Michele Freeman, MPH; Fawn Wolf, MD; and Mark Helfand, MD, MPH
15 February 2011 | Volume 154 Issue 4 | Pages 268-282
背景: 入院患者の厳格な血糖目標にタイトレートした強化インスリン療法(IIT)の利益と害はいまだ不明確.

目的: 入院患者のIITの利益と害を評価すること.

情報源: 1950年から2010年1月までのMEDLINEとコクランデータベースの系統的レビュー,参考文献リスト,専門家,および未発表の情報源

研究の選択: 厳格な血糖目標にタイトレートしたプロトコールと,それほど厳格でないプロトコールを比較した,英語の無作為比較試験

データ抽出: 2人のレビュアーが独立して,それぞれの研究に関してサンプルやセッティング,血糖コントロール介入,血糖目標値,達成した平均血糖値,アウトカムについて抜粋した.結果は患者数やセッティングによってグループ分けされた.短期死亡率(28日以内),長期死亡率(90日または180日),感染,滞在期間と低血糖について,試験データを統合するのに変量効果モデルが利用された.推奨アセスメントのグレーディング,開発,評価システムがそれぞれのアウトカムの総括的なエビデンスの評価に使用された.

データ合成: 集中治療室,周術期ケア,心筋梗塞,脳卒中および脳外傷セッティングでの21試験のメタ解析において,IITは短期死亡率に影響しなかった(相対リスク,1.00[95%CI,0.94〜1.07]).IITにより長期の死亡率,感染率,滞在期間,腎機能補助療法の必要性が低下したという一致したエビデンスは得られなかった.IITによる利益はどの病院セッティングにおいても報告されておらず,利益のないことが最も明白なエビデンスは集中治療室セッティングにおいてであった.10の試験を統合したデータはIITが重症低血糖のハイリスクと関与することを示した(相対リスク,6.00[CI,4.06〜8.87];P<0.001).IITと関連した低血糖のリスクは全ての病院で増加していた.

研究の限界: 方法論的な欠陥と不一致が,周術期ケア,心筋梗塞,脳卒中や脳外傷セッティングでのデータを制限した.インスリンプロトコールや患者,病院の特性の違いが治療セッティングを通じた一般化に影響を与えた可能性がある.

結論: 入院患者の厳格な血糖目標にタイトレートしたIITが健康アウトカムを改善するという一致したエビデンスはなかった.その上IITは重症低血糖のリスク増加に関与する.

主たる資金提供源: U.S. Department of Veterans Affairs Health Services Research and Development Service(訳注:[米]退役軍人健康サービス研究開発機構).

(翻訳:土屋直隆)

English Abstract

▲このページのTOPへ