Journals

レビュー(Review)
急性虚血性脳卒中の治療のための脳血栓除去装置:エビデンスの現況
Neurothrombectomy Devices for the Treatment of Acute Ischemic Stroke: State of the Evidence
William L. Baker, PharmD; Jennifer A. Colby, PharmD; Vanita Tongbram, MBBS, MPH; Ripple Talati, PharmD; Isaac E. Silverman, MD; C. Michael White, PharmD; Jeffrey Kluger, MD; and Craig I. Coleman, PharmD
15 February 2011 | Volume 154 Issue 4 | Pages 243-252
背景: 急性虚血性脳卒中は,予後不良で高度なヘルスケアの負担になる.効果が限定的かもしれない現在推奨されている治療を受けている患者において,脳血栓除去装置の使用を評価するエビデンスが存在している.

目的: 急性虚血性脳卒中の治療において,脳血栓除去装置の使用を支持するエビデンスの状態を示すこと.

情報源: 言語の制限なしにMEDLINE,SCOPUS,Cochrane Central Register of Controlled Trials(訳注:英国のCochrane Collaborationが医療情報を収集,提供しており,Cochrane Central Register of Controlled Trialsは,適切にデザインされた臨床試験についての文献を集積したものである),系統的レビューのコクランライブラリデータベース,Web of Scienceの開始から2010年5月までを検索した.MEDLINEとCochrane Central Register of Controlled Trialsは2010年11月まで検索された.

研究の選択: 急性虚血性脳卒中における脳血栓除去装置を評価しており,少なくとも1つの臨床効果アウトカムや有害事象を報告したヒトを対象にしている研究や症例シリーズ,および症例報告を,2人の独立調査員がスクリーニングした.

データ抽出: 標準化したプロトコールを用いて,2人の独立調査員が,研究の特徴やアウトカムの情報を抽出し,3人目のレビュアーが 一致しないものを明らかにした.

データ合成: 87の論文がクライテリアに一致し,それらは18の前向き単一グループ試験,7の非比較後ろ向き試験,62の症例シリーズと症例報告であった.2つの米国Food and Drug Administration(FDA,訳注:米国食品医薬品局)承認装置,MERCI Retriever(Concentric Medical,Mountain View,California)(40%)とPenumbra System(Penumbra,Alameda,California)(9%)が,得られたデータの大部分を占めていた.すべての前向き後ろ向き試験が,幅のある再開通率(MERCI Retrieverでは43%から78%,Penumbra Systemでは83%から100%)のデータを示していた.症候性頭蓋内出血(16研究;MERCI Retrieverで0%から10%,Penumbra Systemで0%から11%),無症候性頭蓋内出血(13研究:MERCI Retrieverで28%から43%,Penumbra Systemで1%から30%),血管穿孔,血管解離(11研究;MERCI Retrieverで0%から7%,Penumbra Systemで0%から5%)を含む有害事象率も装置によってさまざまであった.有害事象の予測因子として,高齢者,脳卒中の既往,脳卒中重症度スコアのベースラインが高いことがあった.しかしながら,再開通成功が,よいアウトカムの唯一の予測因子だった.

研究の限界: ほとんどの得られたデータは,単一グループからの非比較試験であった.その上,これらの装置により恩恵を受けた患者集団がどれだけなのか,はっきりしなかった.

結論: 現在利用可能な脳血栓除去装置は,急性虚血性脳卒中患者への治療の魅力的な選択肢を提供する.今後の試験では,競合する治療選択や治療装置と同等か劣らないことを示すために適当なパワーを有する無作為化したデザインを用い,脳血栓除去装置の利用による恩恵を受ける集団を見出すべきである.

主たる資金提供源: Agency for Healthcare Research and Quality(訳注:米国ヘルスケア研究・品質局-AHRQ).

(翻訳:金澤雅人)

English Abstract

▲このページのTOPへ