
子宮頸がんのスクリーニング
Cervical Cancer: Screening(August 21, 2018)
米国予防医療専門委員会(USPSTF) 推奨声明
US Preventive Services Task Force Recommendation Statement
日本語訳最終更新日:2026年2月6日
原文リンク
https://www.uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/recommendation/cervical-cancer-screening
(以下は要約の日本語訳の紹介です。詳細は原文を御覧ください。)
(推奨の日本語訳)
推奨の要約:
| 対象 | 推奨 | グレード |
|---|---|---|
| 21~65歳までの女性 | USPSTFは、21~29歳の女性に子宮頸部細胞診単独による3年ごとの子宮頸がんのスクリーニングを推奨する。30~65歳の女性に細胞診単独で3年ごと、高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査単独で5年ごと、またはhrHPV検査と細胞診の併用で5年ごとの子宮頸がんのスクリーニングを推奨する。 | A |
| 21歳未満の女性 | USPSTFは、21歳未満の女性に子宮頸がんのスクリーニングを推奨しない。 | D |
| 子宮摘出術を受けた女性 | USPSTFは、子宮頸部を摘出する子宮摘出術を受けた女性に、悪性度の高い前がん病変(すなわち、子宮頸部上皮内腫瘍[CIN]グレード2または3)または子宮頸がんの既往歴がない場合は、子宮頸がんのスクリーニングを行わないよう推奨する。 | D |
| 65歳をこえる女性 | USPSTFは、以前に十分なスクリーニングを受けており、子宮頸がんのリスクが高くない65歳をこえる女性に子宮頸がんのスクリーニングを行わないよう推奨する。 | D |
要約
重要性
米国における子宮頸がんによる死亡者数は、子宮頸がんのスクリーニングの普及以来大幅に減少しており、2000年から2015年にかけて女性10万人当たりの死亡者数は2.8人から2.3人に減少している。
目的
子宮頸がんのスクリーニングに関する米国予防医療専門委員会(USPSTF)の2012年の推奨を更新する。
エビデンス・レビュー USPSTFは、子宮頸がんのスクリーニングに関する科学的根拠を、子宮頸部細胞診単独法と比較して、高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査単独法またはhrHPVと細胞診を同時に行った併用法を評価した臨床試験およびコホート研究を中心に検討した。またUSPSTFは、子宮頸がんのスクリーニングを開始・終了する年齢、スクリーニングの最適な間隔、異なるスクリーニング戦略の有効性、異なるスクリーニング戦略に関連する有益性と有害性を評価する決定分析モデルを作成した。
知見
子宮頸部細胞診単独法、hrHPV検査単独法、または両方を同時に行う併用法によるスクリーニングは、悪性度の高い子宮頸部前がん病変や子宮頸がんを発見することができる。21~65歳までの女性の子宮頸がんのスクリーニングは、子宮頸がんの罹患率と死亡率を大幅に減少させる。30~65歳の女性における子宮頸がんのスクリーニングの有害性は中程度である。USPSTFは、21~29歳の女性における3年ごとの細胞診単独法の有益性は、有害性を大幅に上回ると高い確信をもって結論づけている。USPSTFは、30~65歳の女性における3年ごとの細胞診単独法、5年ごとのhrHPV検査単独法、または5年ごとの両方を同時に行う併用法の有益性は、有害性を上回ると高い確信をもって結論づけている。以前に十分なスクリーニングを受けている65歳をこえる女性や21歳未満の女性に子宮頸がんのスクリーニングを行っても、大きな利益は得られない。悪性度の高い前がん病変または子宮頸がん以外の適応で子宮頸部を摘出する子宮摘出術を受けた女性に子宮頸がんのスクリーニングを行っても有益性はない。USPSTFは、事前に十分なスクリーニングを受けており子宮頸がんのリスクが高くない65歳をこえる女性、21歳未満の女性、および悪性度の高い前がん病変または子宮頸がん以外の適応で子宮頸部を摘出する子宮摘出術を受けた女性に対する子宮頸がんのスクリーニングは正味の有益性をもたらさない、と中程度から高度の確信をもって結論づけている。
結論と推奨
USPSTFは、21~29歳の女性において、子宮頸部細胞診単独による3年ごとの子宮頸がんのスクリーニングを推奨している(A推奨)。USPSTFは、30~65歳の女性において、細胞診単独で3年ごと、hrHPV検査単独で5年ごと、またはhrHPV検査と細胞診の併用で5年ごとのスクリーニングを推奨している(A推奨)。USPSTFは、21歳未満の女性に子宮頸がんのスクリーニングを推奨していない(D推奨)。USPSTFは、以前に十分なスクリーニングを受けており、子宮頸がんのリスクが高くない65歳をこえる女性には子宮頸がんのスクリーニングを行わないよう推奨している(D推奨)。USPSTFは、子宮頸部を摘出する子宮摘出術を受けた女性で、悪性度の高い前がん病変または子宮頸がんの既往歴がない場合は、子宮頸がんのスクリーニングを行わないよう推奨している(D推奨)。
※参考:日本のデータ(疫学、ガイドライン、制度の情報等):
- 本邦において、年間に約1.1万人が子宮頸がんに罹患し、約3千人が死亡しています。本邦の2022年の子宮頸がんの年齢調整死亡率(/10万)は4.8であり(1)、上記米国の死亡率よりも高い状況です。最近40年間の年齢調整死亡率は横ばいですが、年齢調整罹患率では2000年以降増加傾向にあります。
- 2020年には、2009度版公開後に報告された研究を検証した「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン」更新版が公開されました(2)。今回の更新版では、新たに検診対象年齢と検診間隔が明示されており、従来から推奨されている子宮頸部細胞診に加え、ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus [HPV])検査単独法も推奨されています(3)。細胞診単独法の検診対象は20~69歳、検診間隔は2年を推奨されています。上限年齢は、それまでに子宮頸がん検診を受診し続けた場合は80歳程度までの死亡減少効果が持続するというエビデンスを認めたため提示されました。HPV検査単独法の検診対象は30~60歳、検診間隔は5年を推奨されています。上限年齢は、浸潤がん罹患率の減少が60歳以上では有意でないこと、HPV新規感染率が60歳以上で低いことから提示されました。
- 厚生労働省も2023年12月に「がん検診のあり方に関する検討会」を開催し、各市町村が実施する対策型の子宮頸がん検診で、2024年4月から「HPV検査単独法」を導入することを決めました。対象年齢は30歳以上で、5年に1回の受診間隔とし、特に推奨するものを30歳以上60歳以下と上記ガイドラインに沿い設定しています(4)。
- がん検診の有効性評価では、通常はがん死亡率をアウトカムとした検討が行われますが、子宮頸がん検診では浸潤がん罹患率を用いています(5)。本邦の2022年の子宮頸がん検診の受診率は43.6%であり、50%を下回っている状況が続いています(6)。また、本邦の2020年の子宮頸がんの年齢調整罹患率(/10万)は16.0であり(1)、子宮頸がんの罹患率と死亡率を世界31か国で比較すると、本邦の過去10年間(2003~2012年)の平均年間変化率は大半の国がマイナスとなる中、罹患率は31ヵ国で最も高く、死亡率は2番目に高かったと報告されています。また、今後15年間の予測トレンドにおいても、多くの国で減少または横ばいの傾向でしたが、日本はいずれも上昇予測となっています(7)。
- 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)がん
種別統計情報 子宮頸部[Available from:
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html] - 国立がん研究センター 社会と健康研究センター. 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版, 2020.
- 子宮頸がん検診エビデンスレポート文献レビュー委員会. 子宮頸がん検診エビデンスレポート2019年度版, 2020.
- 厚生労働省「がん検診のあり方に関する検討会」子宮頸がん検診へのHPV検査単独法導入について[Available from:
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou_128563.html] - Arbyn M, Anttila A, Jordan J, Ronco G, Schenck U, Segnan N, Wiener H, Herbert A, von Karsa L. European Guidelines for Quality Assurance in Cervical Cancer Screening. Second edition–summary document. Ann Oncol. 2010 Mar;21(3):448-458. doi: 10.1093/annonc/mdp471. PMID: 20176693; PMCID: PMC2826099.
- 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)がん検診受診率(国民生活基礎調査による推計値)[Available from:
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/screening/screening.html] - Lin S, Gao K, Gu S, You L, Qian S, Tang M, Wang J, Chen K, Jin M. Worldwide trends in cervical cancer incidence and mortality, with predictions for the next 15 years. Cancer. 2021 Nov 1;127(21):4030-4039. doi: 10.1002/cncr.33795. Epub 2021 Aug 9. PMID: 34368955.
日本の他の団体からの推奨:
- 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 2020年3月31日
https://canscreen.ncc.go.jp/guideline/shikyukeiguide2019.pdf
