
成人における自宅で生活する高齢者の転倒予防のスクリーニング
Falls Prevention in Community-Dwelling Older Adults
米国予防医療専門委員会(USPSTF)推奨声明
US Preventive Services Task Force Recommendation Statement
日本語最終更新日:2026年2月13日
原文リンク
https://www.uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/index.php/recommendation/falls-prevention-community-dwelling-older-adults-interventions
(以下は要約の日本語訳の紹介です。詳細は原文を御覧ください。)
(推奨の日本語訳)
推奨の要約:
| 対象 | 推奨 | グレード |
|---|---|---|
| 65歳以上の自宅で暮らす高齢者 | USPSTFは、転倒のリスクが高い65歳以上の自宅で暮らす高齢者に対して、転倒を防ぐための運動介入を推奨する。 | B |
| 65歳以上の自宅で暮らす高齢者 | USPSTFは、臨床医が65歳以上の自宅で暮らす高齢者に対して転倒を防ぐための多因子介入を提供する決定を個別化することを推奨する。既存の証拠は、転倒を防ぐために多因子介入を定期的に提供することの全体的な純利益が小さいことを示している。このサービスが個人にとって適切かどうかを判断する際には、患者と臨床医は、過去の転倒の状況、併存する医学的問題の存在、患者の価値観と好みに基づいて利益と害のバランスを考慮する必要がある。 | C |
要約
重要性
転倒は、米国の高齢者における傷害関連の罹患率および死亡率の主要な原因である。2018年には、65歳以上の地域居住成人の27.5%が過去1年間に少なくとも1回の転倒を報告し、10.2%が転倒に関連した傷害を報告している。2021年には、転倒に関連した傷害が原因で38 742人が死亡したと推定される。
目的
USPSTFは、65歳以上の地域居住成人における転倒および転倒に関連した罹患と死亡を予防するためのプライマリケア関連介入の有効性と有害性を評価するため、システマティックレビューを依頼した。
対象者
転倒リスクが増加している 65 歳以上の自宅で暮らす高齢者
エビデンスの評価
USPSTFは、転倒リスクが増加している高齢者において、運動介入が転倒および転倒に関連する罹患の予防に中程度の正味の有益性をもたらすと、中程度の確実性をもって結論している。
USPSTFは、転倒リスクの高い高齢者において、多因子介入は転倒および転倒に関連する罹患を予防する上で正味の有益性は小さいと、中程度の確実性をもって結論している。
推奨
USPSTFは、転倒リスクが高い 65 歳以上の自宅で暮らす高齢者に対して転倒予防のための運動介入を推奨する。(B推奨)USPSTFは、転倒リスクが増加している自宅で暮らす65 歳以上の高齢者に、転倒を予防するための多因子介入を行うかどうかの決定を、臨床医が個別に行うことを推奨する。既存のエビデンスによると、転倒予防のための多因子介入をルーチンに行うことの全体的な正味利益は小さい。このサービスが個人に適切かどうかを判断する際には、患者と臨床医は、過去の転倒の状況、併存する病状の有無、患者の価値観と嗜好に基づいて、利益と害のバランスを考慮すべきである。(C推奨)
※参考:日本のデータ:
我が国の地域在住高齢者の年間転倒発生率は10-25%ほどです。(1)施設入所者は報告により差がありますが年間転倒率発生は10-50%ほどの割合です。(2)また、高齢者の転倒による外傷の頻度は54-70%程度と報告されており、このうち骨折に至る症例は6-12%程度です。(3)
- 長谷川美規, 安村誠司:日本人高齢者の転倒頻度と転倒により引き起こされる骨折・外傷.骨粗鬆症治療 2008;7 :180-185
- 萩野浩.:転倒の疫学と予防のエビデンス. Jpn J Rehabil Med 2018;55:898-904
- 安村誠司, 芳賀博ら:地域の在宅高齢者における転倒発生率と転倒状況.日本公衆衛生雑誌 1991; 38 :735-742
日本の他の学会からの推奨:
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会(編):骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版, ライフサイエンス出版
http://www.josteo.com/data/publications/guideline/2025_01.pdf
上記の診療ガイドラインが本邦で公開されており、下記の内容が言及されています。
- 地域在住の高齢者を対象にした転倒予防介入のシステマティックレビューで有意な効果が示された介入が表に記されています。(運動全体、グループでの運動(複数要素)、在宅での運動(複数要素)、太極拳、向精神薬の減量など。※詳細は診療ガイドラインをご参照ください)
- 運動は集団や個別での実施に関わらず効果がある。
- 家屋評価とその結果に基づく環境・行動の修正は転倒を減らす。
- 個別に対象者の転倒リスクを評価し、その結果に基づいて行われる多面的介入は転倒率を減少させる。
