ACP Japan Chapter

成人における骨粗鬆症のスクリーニング
Osteoporosis to Prevent Fractures: Screening (January 14, 2025)

米国予防医療専門委員会(USPSTF) 推奨声明
US Preventive Services Task Force Recommendation Statement
日本語訳最終更新日:2026年2月13日

原文リンク
https://www.uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/index.php/recommendation/osteoporosis-screening
(以下は要約の日本語訳の紹介です。詳細は原文を御覧ください。)

(推奨の日本語訳)

推奨の要約:

対象 推奨 グレード
65歳以上の女性 USPSTFは、65歳以上の女性における骨粗鬆症による骨折を予防するためのスクリーニングを推奨している。 B
閉経後の65歳未満の女性で、骨粗鬆症のリスク要因を1つ以上有する女性 USPSTFは、骨粗鬆症による骨折を予防するために、骨粗鬆症のスクリーニングを推奨している。臨床的リスク評価によって骨粗鬆症骨折のリスクが高いと推定される、閉経後65歳未満の女性に適用される。 B
男性 USPSTFは、男性における骨粗鬆症を予防する骨粗鬆症骨折のスクリーニングに関する利点と害のバランスを評価するのに、現在のエビデンスが不十分であると結論付けている。 I

要約

重要性

骨粗鬆症性骨折は、心理的苦痛、その後の骨折、自立性の喪失、日常生活動作能力の低下、および死亡と関連している。

目的

USPSTFは、骨粗鬆症の診断または脆弱性骨折の既往がない40歳以上の成人における骨折予防のための骨粗鬆症スクリーニングの有益性と有害性に関するエビデンスを評価するために、系統的レビューを依頼した。

対象者

骨粗鬆症または脆弱性骨折の既往のない40歳以上の成人

エビデンスの評価

USPSTFは、65歳以上の女性における骨粗鬆症性骨折予防のための骨粗鬆症スクリーニングは、正味の有益性が中程度であると中程度の確信をもって結論している。

USPSTFは、リスクが増加している65歳未満の閉経後女性における骨粗鬆症性骨折予防のための骨粗鬆症スクリーニングは、中等度の正味利益があると中等度の確実性をもって結論している。

USPSTFは、男性における骨粗鬆症性骨折予防のための骨粗鬆症スクリーニングについて、エビデンスが不十分であり、有益性と有害性のバランスが決定できないと結論している。

推奨

USPSTFは、65歳以上の女性における骨粗鬆症性骨折予防のための骨粗鬆症スクリーニングを推奨する。(B推奨)USPSTFは、臨床的リスク評価により骨粗鬆症性骨折のリスクが高いと推定される65歳未満の閉経後女性において、骨粗鬆症性骨折を予防するための骨粗鬆症スクリーニングを推奨する。(B推奨)USPSTFは、男性における骨粗鬆症性骨折予防のための骨粗鬆症スクリーニングの有益性と有害性のバランスを評価するには、現在のエビデンスは不十分であると結論している。(I声明)

※参考:日本のデータ:

 本邦の骨粗鬆患者の有病者数は推計1590万人(女性1180万人、男性410万人)と言われており増加傾向にある(1)。また、本邦の大腿骨骨折も年々増加傾向にあり、2017年時点では19万3400人と算出されている。(2)本邦においては, 腰椎骨密度と大腿骨頸部骨密度の診断を合わせると60歳代男性で4.3%、女性で22.8%、70歳代の男性で4.8%、女性で31.1%、80歳以上の男性で13.5%、女性で49.0%という報告がある。この割合は80歳以上の男性と60歳以上の女性では米国よりも高くなっている。(3)

 現在、日本では40~70歳までの5年きざみの節目年齢の女性を対象に骨密度検診を実施している。しかしながら令和4年度の厚生労働省の報告では(4)骨密度検診の受診率は5.4%と極めて低い。日本の骨密度検診は70歳以上のハイリスク者に実施されていないことや、最もエビデンスが蓄積されているcentral DXA法で実施されていない場合があるなどの点には留意する必要がある。なお、本邦の診療ガイドライン(1)でも『現行の検診で骨折を減らせるエビデンスは十分でないので、今後はエビデンスのあるFRAX®️のような骨折リスク評価法の活用を図ることが考えられる。』と述べられており、エビデンスに基づいた骨粗鬆症検診の実施が求められている。

  1. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会(編):骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版, ライフサイエンス出版, 2025
  2. Eri Takusari, et al. Trends in Hip Fracture Incidence in Japan: Estimates Based on Nationwide Hip Fracture Surveys From 1992 to 2017. JBMR Plus. 2020;5(2):e10428
  3. Noriko Yoshimura, ea al.Trends in osteoporosis prevalence over a10-year period in Japan:the ROAD study 2005-2015.Journal of Bone and Mineral Metabolism.2022;40:829-838
  4. 厚生労働省HP.令和4年度地域保健・健康増進事業報告の概要(2025/02/21 access)

日本の他の学会からの推奨:

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会(編):骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版, ライフサイエンス出版
http://www.josteo.com/data/publications/guideline/2025_01.pdf

上記の診療ガイドラインが本邦で公開されており、下記の事項が言及されています。

DXAについて
  • 骨粗鬆症治療を行う可能性がある症例を対象とする。
  • 65歳以上の女性、危険因子を有する65歳未満の閉経後から周閉経期の女性においては、骨折リスク評価のための骨密度評価は有効である。
  • 70歳以上の男性、危険因子を有する50歳以上70歳未満の男性においても骨密度測定は有用である。
  • 脆弱性骨折を有する症例は、重症度判定のため測定の対象となる。
  • 低骨密度をきたす疾患に罹患している、またそれを引き起こす薬物を投与されている成人は測定の対象である。
  • 上記に該当しない若年者でも骨粗鬆症の危険因子を有する場合には、その後の生活習慣の改善のために骨密度測定を勧める。
FRAX®️について
  • FRAX®️は、日常診療の潜在的な骨折高リスク患者のスクリーニングや骨粗鬆症検診の骨折リスク評価に利用できる。
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