ACIP推奨:インフルエンザワクチン
ACIP Recommendations: Influenza (Flu) Vaccine
予防接種実施諮問委員会
Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)
日本語訳最終更新日: 2026年8月25日


予防接種実施諮問委員会
Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)
日本語訳最終更新日: 2026年8月25日
ACIP Recommendations: Influenza (Flu) Vaccine
https://www.cdc.gov/acip-recs/hcp/vaccine-specific/flu.html
より、作成時点(2026年8月25日時点)の主要項目を日本語に訳しました。
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/74/wr/mm7432a2.htm
https://www.cdc.gov/flu/hcp/vax-summary/acip-recommendations.html
ワクチンによる季節性インフルエンザの予防および制御:
予防接種実施諮問委員会の勧告—米国、2025–26年インフルエンザシーズン
週刊報告 / 2025年8月28日 / 第74巻(第32号); 500–507
禁忌がない生後6か月以上のすべての方に、毎年の季節性インフルエンザワクチン接種が推奨されます。(1)(2)
| 更新項目 | 米国における更新内容(要約 日本語訳) |
|---|---|
| ワクチン組成 | 2025–26年シーズンに米国で使用されるインフルエンザワクチンはすべて3価であり、前シーズンからA(H3N2)成分が更新されました。 |
| 経鼻弱毒 生ワクチン |
アメリカ食品医薬品局(FDA)はFluMistについて、18~49歳の接種対象者による自己投与、および2~17歳の小児・青年に対する18歳以上の介助者による投与を承認しました。 |
| 組換えワクチン | FDAはFlublokの承認年齢を18歳以上から9歳以上へ拡大しました。 |
| チメロサール | 18歳以下、妊娠中の方、およびすべての成人には、保存剤としてチメロサールを含まない単回使用製剤のみを用いることが推奨されました。 |
注:チメロサールに関する推奨策定過程 この推奨の策定には、Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation(GRADE)およびEvidence to Recommendations(EtR)フレームワークは用いられませんでした。また、チメロサールを保存剤として含む季節性インフルエンザワクチンを避けるという論点、推奨内容および推奨文言は、ACIPインフルエンザワークグループでは検討されませんでした。一方、この推奨は、2025年6月のACIP会議における討議を経て承認された新規推奨として、本報告に掲載されています。(1)
注:米国の制度・製品について 上記の製品名、承認年齢、製剤構成およびチメロサールに関する推奨は、米国の制度・製品を前提としています。日本国内の制度・製品については、後半の「※参考:日本で適用する際の補足」を参照してください。
| 対象 | 推奨される接種時期 |
|---|---|
| 当該シーズンに1回のみ接種を必要とする方 | 9月または10月の接種が望まれます。10月以降も、インフルエンザウイルスが流行し、有効期限内のワクチンが利用可能な間は接種を継続します。 |
| 大多数の成人(特に65歳以上)、および妊娠第1・第2三半期の方 | 接種後免疫の減衰を考慮し、後日の接種機会を失う懸念がない限り、7月または8月の接種は避けることが望まれます。 |
| 2回接種が必要な生後6か月〜8歳の小児 | 2回目を10月末までに完了できるよう、ワクチンが利用可能であれば7月または8月を含め、できるだけ早く1回目を接種します。2回の間隔は4週間以上とします。 |
| 1回接種でよい小児 | 7月または8月の接種を考慮できます。特に、後日の接種が難しくなる懸念がある場合に考慮します。 |
| 7月または8月に妊娠第3三半期の方 | 出生後数か月の乳児のインフルエンザを減らす目的から、7月または8月の接種を考慮できます。 |
| 対象・過去の接種歴 | 2025–26年シーズンの接種回数 |
|---|---|
| 生後6か月〜8歳:2025年7月1日より前に、4週間以上の間隔で3価または4価ワクチンを2回以上接種済み | 2025–26年シーズンは1回接種します。過去の2回は、同一または連続したシーズンである必要はありません。 |
| 生後6か月〜8歳:過去の接種が2回未満、または接種歴不明 | 2025–26年シーズンは4週間以上の間隔で2回接種します。8歳で1回目を受け、その後9歳になった場合も2回目を接種します。 |
| 9歳以上 | 2025–26年シーズンは1回接種します。 |
| 対象・接種歴 | ACIP推奨の要約 日本語訳 |
|---|---|
| すべての方 | 原則として、年齢に適合したワクチンを使用します。65歳以上を除き、複数の承認・推奨製剤がある場合に特定製剤を優先する推奨はありません。 |
| 65歳以上 | 高用量不活化ワクチン(HD-IIV3)、組換えワクチン(RIV3)、またはアジュバント添加不活化ワクチン(aIIV3)のいずれかを優先します。接種機会にこれらが利用できない場合は、利用可能な年齢適合ワクチンを接種します。 |
| 18〜64歳の固形臓器移植後で、免疫抑制療法中 | HD-IIV3またはaIIV3も選択肢となります。ただし、他の年齢適合IIV3またはRIV3に対して優先する推奨ではありません。 |
| 妊娠中または妊娠する可能性がある方 | 年齢適合のIIV3またはRIV3を、妊娠のいずれの時期にも接種できます。LAIV3は妊娠中には使用しませんが、産後には使用できます。 |
| 免疫不全状態 | IIV3またはRIV3を使用し、LAIV3は使用しません。 |
| 卵アレルギー | 卵由来・非卵由来を問わず、年齢および健康状態に適合する任意のインフルエンザワクチンを接種できます。通常のワクチン接種を超える追加の安全対策は不要です。 |
注:米国ではHD-IIV3およびaIIV3の承認年齢は65歳以上です。免疫抑制療法中の18~64歳の固形臓器移植後患者への使用は、ACIP推奨に基づくFDA承認適応外の使用です。(1)
略語: IIV3=3価不活化インフルエンザワクチン、HD-IIV3=3価高用量不活化インフルエンザワクチン、aIIV3=3価アジュバント添加不活化インフルエンザワクチン、RIV3=3価組換えインフルエンザワクチン、LAIV3=3価経鼻弱毒生インフルエンザワクチン。
| 対象・接種歴 | 該当する状況 |
|---|---|
| 主な禁忌 | LAIV3の成分(卵を除く)または過去の任意のインフルエンザワクチン接種による重篤なアレルギー反応/小児・青年のアスピリンまたはサリチル酸含有薬併用/2〜4歳で過去12か月に喘息・喘鳴/免疫不全/防護環境を必要とする重度免疫抑制者の濃厚接触者・介護者/妊娠/髄液と口腔咽頭、鼻咽頭、鼻または耳との交通がある者、またはその他の頭蓋髄液漏がある者/人工内耳/所定期間内の抗インフルエンザ薬使用。 |
| 慎重な判断を要する状況 | 中等度または重度の急性疾患/インフルエンザワクチン後6週間以内のGuillain-Barré症候群の既往/5歳以上の喘息/野生型インフルエンザ感染後の合併症リスクを高める基礎疾患。 |
注:LAIV3の承認年齢は米国では2〜49歳です。抗インフルエンザ薬とLAIV3の干渉期間は、オセルタミビル・ザナミビルが接種前48時間から接種後2週間、ペラミビルが接種前5日から接種後2週間、バロキサビルが接種前17日から接種後2週間です。LAIV3接種前の所定期間から接種後2週間までに抗インフルエンザ薬を使用した場合は、年齢に適合するIIV3またはRIV3による再接種が推奨されます。
この節はACIP/CDC推奨の翻訳そのものではなく、日本国内の制度、薬事承認、製剤、接種方法および有効性・安全性を理解するための補足です。ACP日本支部またはPMTFC独自の推奨文としてではなく、掲載時の参考情報として扱います。
日本では、65歳以上の方、および60〜64歳で一定の心臓・腎臓・呼吸器機能障害またはHIVによる免疫機能障害を有する方が、高齢者インフルエンザの定期接種対象です。原則として毎年1回接種します。(3)
高用量インフルエンザHAワクチン「エフルエルダ®筋注」は、75歳以上への定期接種化の方針が2026年2月12日の第64回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承されました。しかし、2026–27シーズンに使用予定であった3価製剤について、製造工程上の技術的課題により薬事承認および供給が遅延したため、2026年7月23日の第66回分科会で、2026年度からの定期接種への導入を見送る方針が示されました。今後の導入時期は、薬事承認および供給状況を踏まえて改めて検討されます。(4)(5)
ACIPでは、生後6か月~8歳の小児について、過去のインフルエンザワクチン接種歴に基づき、そのシーズンに1回または2回接種するかを決定し、9歳以上では1回接種します。(1)(2) 一方、日本小児科学会の2026年4月1日版予防接種スケジュールでは、国内の不活化インフルエンザワクチンについて、13歳未満は2回接種し、接種間隔は原則4週間(添付文書上は2~4週間)です。13歳以上は原則1回接種ですが、2回接種する場合の添付文書上の間隔は1~4週間です。(6) 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは、2歳以上19歳未満に各シーズン1回接種します。(6)
注:ACIPと日本の添付文書・日本小児科学会では、小児の接種回数を決定する年齢区分と接種歴の扱いが異なります。日本国内で接種する場合は、国内添付文書および日本小児科学会の最新スケジュールを確認してください。
65歳以上31,989人を対象とした無作為化比較試験では、高用量ワクチンは標準用量ワクチンと比較し、検査確定インフルエンザを相対的に24.2%減少させました。(7)
2023年のシステマティックレビュー・メタ解析では、65歳以上における標準用量ワクチンとの比較で、インフルエンザ様疾患、インフルエンザ関連入院、肺炎・インフルエンザによる入院、心血管疾患による入院および全入院の相対的減少が報告されています。(8)
高用量ワクチンでは、標準用量ワクチンと比較して注射部位反応や発熱などの局所・全身反応がやや多い一方、重篤な有害事象の頻度は概ね同等と報告されています。国内第III相試験では、年齢が高い群ほど有害事象の頻度が低い傾向も示されています。
| 製剤 | 薬事承認上の 対象年齢 | 接種方法・特徴 | 国内での位置づけ (2026–27年シーズン) |
|---|---|---|---|
| 標準用量不活化インフルエンザHAワクチン (3)(6) | 生後6か月以上 | 皮下注射。年齢等により1回または2回。 | 65歳以上および一定の60〜64歳で定期接種。 |
| 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト点鼻液) (6) | 2歳以上 19歳未満 | 経鼻投与1回。 | 定期接種ではありません。妊娠、免疫抑制状態、特定の喘息・喘鳴などでは不活化ワクチンが選択されます。 |
| 高用量不活化インフルエンザHAワクチン(エフルエルダ®筋注) | 60歳以上(10) | 承認済み4価製剤は0.7 mLを筋肉内に1回。HA抗原60 μg/株で、標準用量の4倍。 | 2026–27年シーズンに導入予定であった3価製剤は、発売・供給および75歳以上への定期接種導入が見送られ、今後の導入時期は未定です。(4)(5) |
注:製剤の対象年齢と定期接種の対象年齢は同一ではありません。国内の添付文書、最新の制度および自治体情報を確認してください。