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臨床研究企画

企画Ⅰ
アカデミック内科医は絶滅危惧種か?
Chat GPT時代を迎えて

6月25日(日)9時25分〜11時35分 Academic Theater

演者

福原 俊一
京都大学、Johns Hopkins University

松下 邦洋
Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health

香坂 俊
慶応大学医学部

演題
  • 「循環器内科医のち疫学者:臨床と直結した研究を目指して」 松下 邦洋
  • 「疫学研究のち循環器内科医:現場診療に研究を一匙」  香坂 俊
  • 「生成AI時代に生き残れるアカデミック内科医は?」  福原俊一
企画概要

現在でも、内科学を専攻した日本の大学院生は、基礎医学研究で学位を取得することが多い。これには、明治維新時にドイツ医学モデルのみを導入した歴史的背景が大きい1) 。今から約40年前、Cecilの内科学書の著者の一人であるWyngartenは、近い将来、トップレベルの基礎医学研究を遂行可能な内科医は絶滅危惧種となるであろうと予測した2)。ノーベル賞受賞者で内科医のGoldsteinはそれを半魚人の絵に喩えた3)。40年たった現在、果たして状況はどのようになっているのだろうか?

研究といえば基礎医学しかなかった日本の医学アカデミアにとって、臨床疫学は新しい領域で約30年の歴史しか持っていない。この意味で日本の内科医が臨床研究をする事は、「不自然」な流れだった言えよう。一方で診療行為が、決定論的なモデルよりも、確率論的推論モデルに適合することを考える時、同じ確率論に依拠する臨床研究は、むしろ「自然な」流れと言えるかもしれない。事実、今回シンポジウムに登場する3人の内科医にとって臨床研究の関わることに違和感はなかった。演者の1人(福原)にとっては「臨床をしていたら、いつの間にか臨床研究をしていた」というのが率直な感慨である。(臨床を極めたと言う意味では全くない) ACP日本支部の創立者黒川らは、臨床研究医を育成するという大学医学部の新しい役割について論じた4)

そこにChat GPTが現れた。臨床研究を遂行する上でこれまでチャレンジと考えられた統計解析、メタアナリシスや英文論文化のかなりの部分は、おそらく人工知能がやってくれるであろう。とすると内科医は臨床研究をしなくても良くなるのであろうか?そのことも含めてこのシンポジウムで皆さんと議論したい。

文献:1) 福原俊一 臨床疫学の起源と未来 ―William Osler に源を発する患者中心研究の水脈, 腎と透析 2022年9月号、2) Wyngaarden J.B. The clinical investigator as an endangered species. N Eng J Med., 301;1979 3) Goldstein, J.L. On the origin and prevention of PAIDS (Paralyzed Academic Investigator’s Disease Syndrome). J Clin Invest 78; 1986. 4) Fukuhara S, Kurokawa K: New Roles for Medical Schools in Cultivating Clinical Researchers. In: Human Clinical Research: Ethics and Economics 2nd ed. De Santo NG, Medical and Scientific Publishing, Cosenza-Italy, 1998

\「臨床研究」の学びや実践について、
疑問に思うことをなんでもおよせ下さい。/

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疑問に思うことを
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企画Ⅱ
臨床研究で黒川賞を取るための道標

6月24日(土)10時25分〜11時45分 Academic Theater

演者

勝倉 真一
獨協医科大学
総合診療医学講座

鈴木 龍児
福島県立医科大学
白河総合診療アカデミー

岡本 麻衣
都留市立病院

座長

濱口 杉大

福島県立医科大学

企画概要

忙しい臨床医がアカデミックなキャリアを身につけることは大変なことです。多くの方は学会で症例報告をするのがやっとで、臨床研究まではとても考えられない、というのが正直なところではないでしょうか?

1つのモチベーションとなるのが、ACP日本支部年次総会・講演会で毎年行われている一般演題/黒川賞ですが、症例報告は出せても臨床研究はちょっと、という若手の先生方が多いと思います。

今回、若手医師でありながら臨床研究にて黒川賞を受賞された中から3名の先生にご登壇いただき、どのようにしてそのハードルを乗り越えてきたのか、苦労、モチベーションなどを語っていただき、少しでもACP日本支部の最高峰である臨床研究の黒川賞の受賞を目指す人が増えることを期待します。

それぞれ大学病院、市中病院の勤務でEarly career physician部門で受賞された2名の先生、研修医時代にResident/Fellow部門で受賞された1名の先生にご登壇いただき、異なるBackgroundの受賞者の声を集めることで、より幅広い参加者、特に臨床研究を始めてみたい、あるいは始めたばかりの参加者に向けたものとします。

ACP日本支部年次総会・講演会に黒川賞を目指した多くの演題が発表され、支部自体のアカデミックなレベルの向上に寄与することを期待します。

企画Ⅲ
グレーゾーン探偵:
臨床のエキスパートと
臨床疫学のエキスパートで読み解く
臨床現場のグレーゾーン

臨床現場では、しばしばグレーゾーン(答えが出ていない領域)に遭遇します。
しかし、グレーゾーンにおけるプラクティスを決めるのは容易ではなく、その理由の一つに、その領域に存在する論文の解釈の難しさがあるのではないかと考えられます。

「グレーゾーン探偵」は、幅広いトピックにおけるグレーゾーンを、各トピックの臨床のエキスパートと臨床疫学のエキスパートとで読み解くというチャレンジングな新企画です。

【重症患者の輸液編】
6月24日(土)11時55分〜12時55分 Academic Theater

演者

川上 大裕
飯塚病院 集中治療科

山本 良平
福島県立医科大学 臨床研究イノベーションセンター

本セッションの構成
第1部:
重症患者の輸液の総論とグレーゾーン(臨床のエキスパート)
臨床のエキスパートによるレクチャーから学ぶ「重症患者の輸液」の全体像とグレーゾーン(キー論文の紹介)
第2部:
重症患者の輸液のグレーゾーンにおけるキー論文を読み解く(臨床疫学のエキスパート)
臨床疫学のエキスパートによるレクチャーから学ぶキー論文の基本構造、臨床的価値および今後の展望
本セッションで扱うグレーゾーン

敗血症性ショックなどの重症患者の適切な輸液の量ってどう決めてるの?最近は観察研究で過剰輸液の害が示され、制限輸液が良いのではないかと言われています。でも、制限輸液とは一体何でしょう...少なすぎてもダメですよね?どうやって輸液量を決定すればいいのでしょう?

グレーゾーン探偵が、臨床経験と疫学研究からどう臨床にエビデンスを活かしているか、まさにアートの部分を披露します。
臨床医と疫学徒と共に重症患者の適切な輸液量というグレーゾーンを一緒に解きほぐしていきましょう。

【急性虫垂炎編】
6月24日(土)14時15分〜15時15分 Academic Theater

演者

清田 雅智
飯塚病院 総合診療科

佐々木 彰
京都大学

本セッションの構成
第1部:
急性虫垂炎の総論とグレーゾーン(臨床のエキスパート)
臨床のエキスパートによるレクチャーから学ぶ「急性虫垂炎」の全体像とグレーゾーン(キー論文の紹介)
第2部:
急性虫垂炎のグレーゾーンにおけるキー論文を読み解く(臨床疫学のエキスパート)
臨床疫学のエキスパートによるレクチャーから学ぶキー論文の基本構造、臨床的価値および今後の展望
本セッションで扱うグレーゾーン
  • 画像の検査前確率を上げることが急性虫垂炎の現代医療の鍵で, 病歴が重要である
  • 病歴で”pain before vomit”は100%の感度があるとされているが微妙な症例もある
  • この病歴は臨床的にはどの程度有用なのか検証したいところである

【リケッチア感染症編】
6月25日(日)11時45分〜12時45分 Academic Theate

演者

成田 雅
沖縄県立中部病院
感染症内科

山藤 栄一郎
福島県立医科大学 総合内科・臨床感染症学講座

本セッションの構成
第1部:
リケッチア感染症の総論とグレーゾーン(臨床のエキスパート)
臨床のエキスパートによるレクチャーから学ぶ「リケッチア感染症」の全体像とグレーゾーン(キー論文の紹介)
第2部:
リケッチア感染症のグレーゾーンにおけるキー論文を読み解く(臨床疫学のエキスパート)
臨床疫学のエキスパートによるレクチャーから学ぶキー論文の基本構造、臨床的価値および今後の展望
本セッションで扱うグレーゾーン
  • つつが虫病は多様な臨床像をとる地域特有の疾患である。
  • 日本でのつつが虫病の地域毎の発症状況、消長には変化がある。
  • 病原性と血清・遺伝子型の関連性は不明である。低病原性とされるKurokiの死亡例の報告もある。
  • 血清学的検査(特に商業的検査)のみの診断は困難を伴う。
  • つつが虫病治療に関して抗菌薬併用の有用性が報告されたが、日本のつつが虫病症例にそのまま適応可能かどうかの検証が必要である。