ACP Japan Chapter

米国におけるCOVID-19ワクチン使用に関する暫定的臨床指針
Nov 4, 2025

予防接種実施諮問委員会
Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)
日本語最終更新日:2026年7月15日

原文へのリンク:
https://www.cdc.gov/covid/hcp/vaccine-considerations/index.html
以下は上記リンク内の
Overview of recommendations for the use of COVID-19 vaccines
にあたる記載の日本語訳です。詳細は原文を御覧ください。

COVID-19ワクチン使用に関する推奨の概要

接種が推奨される対象群

COVID-19ワクチン接種は、COVID-19の発症およびその合併症の予防のため、 以下のように推奨される:

対象 推奨
65歳以上の成人 個別の意思決定(いわゆる共同意思決定)に基づいて接種を行う。
生後6か月~64歳の者 個別の意思決定(共同意思決定)に基づいて接種を行う。ただし、重症化リスクが高い人ではワクチンのリスク・ベネフィットがより有利であり、リスクが高くない人ではその利益が相対的に小さいことが強調される(CDCが示すCOVID-19重症化リスク因子リストに基づく)。

CDCの重症化リスク因子に加えて、Spikevax(Moderna社)の添付文書では、生後6~23か月の小児においては早産(在胎37週未満での出生)がCOVID-19関連入院と関連しているとされている。また、医療従事者、介護施設やその他の集団生活施設の入居者や職員もSARS-CoV-2感染リスクが高い可能性がある。

参考:日本のデータ

COVID-19は5類感染症に移行後、定点サーベイランスによって流行が監視されています。移行後も新たな変異株の出現に伴って流行が繰り返されており、近年では主に冬季と夏季に流行が見られています(1)。COVID-19による死者数は2022年に約42,000人でピークに達しましたが、その後は年間3万人台で経過し、2024年の死亡者数は35,865 人(人口10万人あたり29.8人)でした(2)。 死亡者の約97%が65歳以上の高齢者ですが、65歳未満でも約1,000人の死亡が報告されています。定点医療機関から報告された年間入院患者数は、2025年(第1~52週)に64,616人であり、その84%を60歳以上が占めていました(3)。

本邦におけるCOIVD-19ワクチンの効果について、2024/25シーズンのJN.1系統対応ワクチンの有効性を評価した検査陰性症例対象研究では、有症状感染に対するワクチン有効率は18~64歳で61.0%、65歳以上で44.3%でした(4)。また、60歳以上におけるCOVID-19による入院に対するワクチン有効率は60.1%でした。

本邦の定期接種対象

2024年4月1日以降、COVID-19ワクチン接種は市町村が実施する定期接種となっています。2025年度の定期接種の対象者は以下の通りでした (1)。

  1. 65歳以上の者
  2. 60〜64歳で、心臓や腎臓、呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限されている者
  3. 60〜64歳で、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫機能に障害があり日常生活がほとんど不可能な者

2026年度の定期接種については、詳細が決まり次第公表される予定です。

他の学会等からの推奨

日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会 (2025年)

日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会は、高齢者におけるCOVID-19の重症化および死亡リスクは依然として高いとして、2025年度の国の定めるCOVID-19ワクチンの定期接種対象者へのワクチン接種を強く推奨しています(5)。

また、日本感染症学会は、定期接種対象外であっても、18歳以上の成人ではCOVID-19による症状の重症度、重症化リスク、および死亡リスクがインフルエンザと同等またはそれ以上であるとして、COVID-19ワクチンの接種を推奨しています。特に、基礎疾患を有する者に対しては強く推奨しています(6)。

American College of Physicians (2026年)

米国内科学会(American College of Physicians)は、65歳以上の成人および18~64歳で重症COVID-19のリスクが高い成人に対して、2025-2026シーズン対応の mRNAワクチン接種を推奨しています(7)。一方、重症化リスクのない18~64歳の成人については、ワクチン接種を考慮してもよいとしています(7)。

引用文献

  1. 厚生労働省. 新型コロナワクチンの情報提供資材について.医療従事者の方へ 2025年度新型コロナワクチン接種の考え方と最新知見.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_covid-19-resources.html (最終閲覧: 2026/7/15)
  2. 厚生労働省. 令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/index.html (最終閲覧: 2026/7/15)
  3. 厚生労働省. 新型コロナウイルス感染に関する報道発表資料(発生状況)2025年. 2026年1月8日新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00474.html (最終閲覧: 2026/5/20)
  4. Maeda H, Saito N, Igarashi A, Ishida M, Terada M, Osawa R, Hosokawa N, Nakashima K, Motohashi I, Kamura H, Hayakawa T, Teshigahara o, Asami S, Kudo S, Matono T, Oda R, Ohara Y, Morikawa T, Sugimoto Y, Imura H, Sando E, Kuwamitsu o, Kishaba T, Fujisawa A, Ohno S, Masuda S, Suzuki M, Morimoto K. Effectiveness of JN.1-adapted COVID-19 vaccine against medically attended SARS-CoV-2 infection and COVID-19 hospitalization in adults in Japan, from October 2024 to April 2025: VERSUS. Vaccine. 2026 Apr 30;80:128544. doi: 10.1016/j.vaccine.2026.128544. Epub 2026 Apr 2. PMID: 41932291.
  5. 日本感染症学会. 新型コロナワクチン定期接種に関する見解. (最終更新日: 2025/9/2)
    https://www.kansensho.or.jp/modules/news/index.php?content_id=797 (2026/5/20閲覧)
  6. 日本感染症学会. COVID-19ワクチンに関する提言(第11版) – LP8.1/XEX対応ワクチンの任意接種を中心に (最終更新日: 2025/9/24)
    https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=43 (2026/5/閲覧)
  7. Qaseem A, oBley AJ, Harrod CS, Wilt TJ, Carroll K, Humphrey LL; Population Health and Medical Science Committee of the American College of Physicians; Haeme R, Krain A, Poonacha T, Saini SD, Vigna C. COVID-19 Vaccines for 2025-2026 in Adults Who Are Not Pregnant or Immunocompromised: Rapid Practice Points From the American College of Physicians. Ann Intern Med. 2026 May;179(5):728-733. doi: 10.7326/ANNALS-25-05026. Epub 2026 Feb 24. PMID: 41730216.
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