黒川賞(若手医師部門)受賞者の言葉

2021年9月16日

ACP日本支部年次総会・講演会2021 黒川賞(若手医師部門)を受賞して
獨協医科大学 勝倉 真一


この度は米国内科学会日本支部2021年次総会において、名誉ある黒川賞を頂き、大変光栄に思います。
人工知能の医療現場における台頭には目を見張るものがありますが、それはもちろん診断学の世界でも例外ではなく、診断学を専門とする我々獨協総診チームが取り組んでいる研究領域の1つです。現存するAIによる代表的な外来診療支援システムには、AIによる自動問診および病歴生成と、AIによる鑑別診断リスト生成の2つのシステムがあり、それらシステムの組み合わせにより医師の診断能が向上することは過去にも報告されていましたが、そのどちらがより医師の診断プロセスに貢献しているのかを比較検証した報告はなかったため、今回の研究を計画するに至りました。結果として、今回の研究においては、AIの生成する鑑別診断リストはあまり医師の診断能に影響しませんでしたが、AI自体の診断能が向上すればそれらを利用する医師の診断能も向上することを示唆する結果も同時に得ることができ、今後さらなるAIテクノロジーの発展が期待されます。
恥ずかしながら、私はまだまだ研究者としては未熟であり、研究内容の企画立案から発表まで、志水太郎教授、原田侑典講師をはじめとした獨協総診のメンバーに手厚く指導をして頂き、大変感謝をしております。英語も得意なほうではありませんでしたが、こちらも事前練習を欠かさず準備を怠らなかったことが功を奏し、本番では緊張しながらも楽しくディスカッションができ、無事研究結果を発表することができました。最後に、このような素晴らしい発表の舞台を用意してくださった米国内科学会日本支部の関係者の皆様にも、重ね重ね御礼申し上げたく存じます。ありがとうございました。

Kurokawa Award Winner (Resident/Fellow Category)

2021年9月16日

Kurokawa Award (Resident/Fellow Category) Recipient’s Remarks
Yoji Hoshina, U.S. Naval Hospital Yokosuka

I am extremely honored to receive this prestigious Kurokawa Award at the ACP Japan Chapter Annual Meeting 2021.

The case I presented was “A case of myasthenia gravis after administration of COVID-19 vaccine,” which I experienced during my rotation in the Department of Neurology at the U.S. Naval Hospital Yokosuka. Myasthenia gravis is known to be triggered and exacerbated by various factors, including infection and medications. In this case, there were no obvious changes in the patient’s daily life before the presentation of symptoms, except for the administration of the COVID-19 vaccine. Although we cannot conclude that the vaccination was related to the exacerbation of his symptoms, I thought discussing and presenting this case would lead to the “activation of the academic mind,” which is the annual meeting theme. The difficult part of the discussion was that there were no identical cases in the past, so we had to hypothesize based on similar cases and the mechanism of vaccine and COVID-19 infection. I could not have done it without Dr. Baker and Dr. Sowers, who have supported me. I would like to thank Dr. Baker and Dr. Sowers from the bottom of my heart.

Last but not least, I would like to express my deepest gratitude to the staff at Chiba University Department of General Medicine, where I spent time before going to Yokosuka, for encouraging me to pursue my interest in an academic area. I would also like to express my sincere gratitude to the people involved in the ACP Japan Chapter Meeting, who decided to hold the meeting virtually during the COVID-19 pandemic and worked hard until the end.

黒川賞(研修医部門)受賞者の言葉

2021年9月16日

ACP日本支部年次総会・講演会2021 黒川賞(研修医部門)を受賞して
横須賀米海軍病院 保科耀司

この度はACP日本支部2021年次総会において栄誉ある黒川賞をいただき、大変光栄に存じます。
今回私が発表した症例は「新型コロナワクチン接種後に重症筋無力症を発症した一例」で、横須賀米海軍病院の神経内科をローテーションしているときに経験させていただいた症例でした。重症筋無力症は感染や薬剤など、様々な要因を契機に発症、増悪することが知られております。今回発表させていただいた症例では患者が当院を受診する前に、新型コロナワクチンを接種した以外に明らかな生活変化をみとめませんでした。もちろん、新型コロナワクチンの接種が今回の症状の出現・増悪に関係したと結論づけることはできません。しかし、この新しいテーマを考察することが今回の学会のテーマでもある「アカデミックマインドの活性化」につながるのではないかと思い、発表させていただきました。考察で難しかった点は、過去の文献で同じ症例がなく、類似症例や、ワクチンと新型コロナウイルス感染の機序から仮説を立て検討していく点でした。今回協力してくださった神経内科のBaker医師と麻酔科のSowers医師なしでは成し遂げられませんでした。心より御礼申し上げます。

最後になりますが、私がアカデミックの道に興味を持つことができたのは横須賀に行く前に過ごした千葉大学総合診療科の皆様の後押しのおかげです。改めましたこの場をお借りして、感謝の意を伝えさせていただきたいと思います。そして、COVID-19パンデミックの中、バーチャルでの開催に踏み切り、最後までご尽力いただいたACP日本支部総会の関係者の方々に厚く御礼申し上げます。